モスリンカラーズ物語 ~世界に1色のベビーモスリン~ 第1話

これから6ヶ月に渡って小さな物語を綴り、語らせていただく佐藤と申します。このおはなしは「ベビーモスリン・カラーズ」の物語。

本編に入る前に、まずはベビーモスリンってなに?という方のために自己紹介から簡単にさせていただきます。

ベビーモスリンの画像

ベビーモスリンは、生まれたての赤ちゃんから未就学児童に特化してお使いいただける100%コットンの「国産子育て万能布」です。生地の通気性と速乾性が高いことが特徴で、沐浴のコットンや、おくるみや手口拭き、バスタオルやハンドタオル、授乳溢れ拭きやベビーカーの日除けなど、さまざまな用途に使える魔法の万能布です。使うほどにシワが増え、サラフワ感が増していくのも特徴の一つです。

※詳しくは「ベビーモスリン物語」をご覧いただけるとわかります!

そんなベビーモスリンを作っているのは、気仙沼市に住む赤ちゃんや未就学児童の母親。子連れ出勤可能な職場で、子育てと仕事を支えあい、全国の子育て層へ向けてベビーモスリンを作っては届け、届けては作って、を完全手作業でしております。

ピースジャム工房の画像
職場の外観です。

この職場を運営しているのがピースジャムというNPO法人で、僕はその団体の発起人兼代表をしています。なぜ子育てと仕事の両立を目指した職場を運営しているのかというと、どんなライフステージにいても自由な選択肢にたくさん囲まれて楽しんで生きていってほしい!という単純な理由からです。でも生き方の多様化が進む昨今においても女性のWLB(ワークライフバランス)だけは計りにくい現代社会。少子高齢社会においては子どもだけではなく「母親」も減少し、減少に伴って母親の持つ課題の声も縮小し社会に届きにくい/反映しにくい。というか家庭内であっても、まるで「育児専属担当者」のように見なされ、ワンオペ化し、仕事どころか育児に追われて「誰もわかってくれない」状態になってしまうという、声は出せども伝わらず。そんなモヤモヤが毎日沢山生まれています。地方と都心は違えども似た問題を抱えていて、そんな孤独で苦しい状況からDVやネグレクトに発展していくリスクは増加。これを認めてはいけませんが、過程を知れば痛みは理解できます。こういった現代の育児背景の横で2011年に起きた東日本大震災。東北沿岸部は物理的にも精神的にも悲しいことがたくさん起こりました。なんとか屋根と食と衛生環境が整備されても、生活に関わるインフラごと消えたため、僕を含め「赤ちゃん」を抱えた家庭はこの先の見えない未来にうろたえました。見れば地域の家庭は一人ひとり被災状況も違うし、質も違えば感じ方も違います。でも皆が問題を抱え苦しんでいる点は共通していたため、ひとりで悩むのではなく、みんなつながって思いを擦り合わせ、一人で解決できないからこそ全員で解決できるよう母子支援のNPO団体を立ち上げ、徐々に子育てと仕事の両立ができる持続型の育児コミュニティ(職場)を地域の母親たちとともに作ってきたっていう経緯があります。

ちなみに僕の自己紹介も簡単に。元看護師からの元バーテンダーでO脚が激しい42歳です。見た目はこんな感じです。

子どもが書いた佐藤賢さんの似顔絵
画像の中央左が僕です。とても似ています。

男性なのにどうして母子支援を?みたいなことをよく聞かれますが、残念ながら特別な話は持っていませんw 強いて言えば、みんな同じ人間なので苦楽を分かつのに性差はどうでもいいですし!っていう、垣根嫌いなアイデンティティです。加えて、いつもどうでもいいことについて考えていて、例えば性差ネタついでに言えば、最近イクメンとかいう単語をよく聞きますが、我が子を育てるのに「イクメン」って何?って思うんですね。皆さんはどう感じているのでしょうか。父親ってのは総じて育児へのボランティアや参加者や参画者なのですかね。高度成長期からの社会的通念の名残でしょうけど、時代とともに価値観とライフスタイルは多様さを増しつつ激変しています。でも「日本の子育て」だけ、いつまで昭和マインド貫いてるのかなと。もう平成過ぎて令和だよと。奥さん毎日仕事しながらやってんだよソレ、と。で、「イクメン?は?w」と。僕的にはご飯を食べる当たり前の人が「メシクイ」という愛称で呼ばれるくらい違和感あります。という、どうでもいいことを考える癖がございます。

はい大分どうでもいい自己紹介でしたが、そんな僕がいる職場(僕以外ちゃんとしています!)で作っているプロダクトの一つが「ベビーモスリン」です。山の自然に囲まれた工房に集い、全員で育児をして全員で仕事をする職場です。母親たちは沢山の子をもち、子どもたちは沢山の母親をもつ、育児と育自を大切にしているここは、小さいながらアットホームな職場です。

ベビーモスリンの縫製の様子。
ベビーモスリンの縫製の様子。
キッズルームでのお昼ご飯の様子。
キッズルームでのお昼ご飯の様子。

創業時の2011年から2019年までに約50の親子と時間を共にする中で、たくさんの成長と笑顔を見ることができました。

このピースジャムが行なっている活動は、端的に言えば育児コミュニティを仕事によって賄いコミュニティに持続性を持たせることでコミュニティの拡張を目指すというもの。あくまでリアルに集うことで成立する条件付きのコミュニティモデルです。

だからこそ全然できていなかったことがあります。

職場に通えなきゃ育児も仕事もできないじゃない!っていうこと。

これはこれ、それはそれですが、悩みの見えている人に手を差し伸べることができていないことには違いありません。地域を見渡せば、「子どもを預ける身内がいない」「幼稚園の預かり時間帯が合わず就職先を見つけるのが困難」「年3回の長期休暇に柔軟に対応してくれる職場がない」「働きたくても子育て期に働く(子どもから離れる)ことに罪悪感があって働けない」など、場所や時間の制約によって仕事やパーソナルタイムが得られず、結果自己実現の機会が損なわれているわけです。これが日本中で起きているのです。これは単に育児と就労の問題ではなく、この状況下で家族や夫や地域からの理解や協力が得られない場合、孤独に陥ってしまうことが1番の問題だと思います。そこから精神的に閉じこもった育児になり、鬱やDVやネグレクトへ発展したり、子どもが自家中毒を起こしたり死亡したりと、多様なリスクが懸念されるからです。毎日実際に起きていることです。僕らはリーチしたくてもできていなかったこの問題へ、微力ながら働き方の点で取り組んでいきたいと思いました。まず、働きたくても働きに出られない妊婦さんを含めた専業主婦が、時間や場所の制約に囚われず在宅でゆっくり育児を優先でき、空いた時間で仕事やつながりをもてたら、良さげでは?!と考えました。

はいここで登場するのがベビーモスリンです。

ベビーモスリンにくるまれた赤ちゃんの写真

この白地のベビーモスリンを在宅育児中のママさんへ送り、自宅で染色していただいて、染色した分だけ代金が得られるようにしていけたら良いのではないか。という答えにたどり着きました。もちろんノルマなく。

染色については染色キットを開発し(⇦イマココ)、ご自宅へ郵送→染色して代金が得られる簡単な仕組みです。

絵にするとこんな感じです。

染色の仕事のフロー図

やりとりが超シンプルなのは、育児を妨げないようにコミュニケーションポイントを削ったからです。このスキームを想定していて実現可能な域に落とし込むために現在専門家とともに染色と流通と販売を行なっています。ちなみに現段階で染色によって生まれ変わったベビーモスリンは3色あり、藍染を「BLU ブルー」、刈安染を「はちみついろ」茜染を「ももいろ」と名付け(ネーミングそのまんま)、そしてこの商品群を「ベビーモスリン・カラーズ」と総じて、気仙沼市のふるさと納税サイトとピースジャムのオンラインショップ限定で取り扱いしています。

モスリンカラーズの紹介画像

染色を施しているのは、東北の草木染のメッカである秋田県鹿角市に住まうママ染め師。かなりの業師ですので当然のように染め上がりは美しいのですが、この染色クオリティを技術を持たない在宅ママが無理なく学び再現できる状態を目指していて、それを実現する「染色キット」の開発に取り組んでいます。ゆくゆくは染め手によって十人十色の個性が表現できると最高です。

十人十色の染色のイメージ図

そんなベビーモスリン・カラーズ。単純な機能性だけを訴求するのではなく、染色の数だけ1人ひとりの手仕事や育児のサポートにつながっていくように、個々の家庭での育児の楽しさが可視化できる方法を考えています(第4話あたりで登場予定)、生産者と消費者の関係性ではなく購買を通じた新たな育児コミュニケーションと価値を生んでいきたいと思っています。

我ながら字で書くと本当わかりにくいですね!説明下手くそです!でも続けますw

まずは2019年度内に既存の3色を基にレシピ化し、2022年には30人で30色の染色を行える体制を作りたいです。その規模になった時、この商品群を通じて、赤ちゃん、母親のWLB、子育て、親子の豊かさを改めて社会へ提言するエシカル性のある商品としても発信していきたい。これが「ベビーモスリン・カラーズ」の大まかな道筋です。仲間がまだまだ少ないので、というよりこの場で初めて話したばかりですので、一緒に走ったり、考えて頂ける方や、協賛いただける企業様も絶賛募集です!僕らにはお金も力もありませんが、想いはあります。小さなつながりをコツコツ広げ、社会は良く変えていくことができると信じています。今回は余談5割の内容でしたが、初回は、想いと大まかな内容を伝えて終えたいと思います。次回は「ベビーモスリン・カラーズを災害時にも活用しようぜ!編」と「染め師とのレシピ開発道中編」をお届けしたいと思います!

というわけで、長文にお付き合い頂きありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします^^

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