モスリンカラーズ物語~世界に1色のベビーモスリン~第4話

ベビーモスリンをかけて眠る赤ちゃん

さて、前回に引き続いて災害時の経験を交えながら、今回は「災害時のコミュニティ・サポート」についてお話ししたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

早速ですが、災害発生後、しばらく避難所で過ごすと、仲の良い人ができたり、自分と共通する(年齢、ライフステージ、性別 等)人と仲良くなったりします。徐々に「ひとり」から2人になり、2人から3人4人と増え、グループになっていくんですね。吐露をしながら気持ちを整理し、痛みが和らげば心強さも増していきます。10人を越えれば多様さもある立派なコミュニティです。行動の選択肢や自由度も増え、役割も得られます。こんな話もありました。災害前から孤独なワンオペ育児をしていた多数の主婦は「避難所では子育てに皆が関わってくれるのがありがたい」と言っていて、災害以前に他者との接点や協力してくれるつながりが少ないのだと感じました。現代ではひとりでご飯を食べて肺呼吸をして生きていくことはできますが、生命活動上は良くても、人生では味気ないことこの上無しです(自身比)。大変な時だけど辛さも豊さも共有できる他者が沢山生まれていく状態を素晴らく感じていましたが、そう感じるのであれば普段ってどれだけ孤独に生きているのだろうかとも思いました。少し話が逸れましたが、そのコミュニティの中心にある共通性こそ「支え合い」の心だと思っていて、コミュニティはその良い影響を受けあいながら、より広がって、つながっていくのだと思うんです。

でも、こんなこと書きたくないのですが、理念だけでは生活できないんです。世知辛い話ですが、財を失っていても、誰かが財をくれるわけでもありませんので稼ぐよりほかないです。仕事がなければ生活の維持や再建をするのも、子どもを育てるのも困難です。

ここでベビーモスリンの話になります(やっと)。

母子の話になります(やっと)。

結果から申せば、ベビーモスリンで母子のコミュニティを作って、大いに育児と仕事を盛り上げていきましょうっていう話です。

子育ては長時間かつ不規則に育児に関わるために、決まった時間に仕事をすることが難しいことは周知の事実ですが、災害後の避難所生活では環境的に困難です。仕事をしたくても託児、勤怠時間、育児期の就労者へ対する職場の理解等の条件をクリアしなければ働けない方が多く、もし仮に仕事ができたとしても、仕事をすれば育児にかける時間が減り、仕事をすればその逆になります。元より育児と仕事を両立しにくい社会ですが、災害後はより就労への難易度が上がるということです。育児も仕事もままならなければ過酷な生活に直面してしまいます。

そこで、ベビーモスリンの染色を通じた仕事を避難所や仮設住宅でもできるようにキット化し、育児期に必要な要素をコミュニティ化(育児・仕事/仲間・ママ友)し、育児の空いた時間に染色できるよう制作期間を長くとり、遠隔地で私たちパートナーが販売活動をして、染色作業への賃金を支払うことで、コミュニティの持続へつなげるのが本プロジェクトにおける災害時のプランです。避難所から仮設住宅や災害公営住宅へ各々様々と移動をし始める頃、同時に関わり合いが遮断されることが多々ありますが、それでも育児は続くので、絆は途切れず集まる明確な理由があって、そこで育児と仕事を支え合えるコミュニティが持続していければ、なんかとてもいい感じじゃないかな。と思うんです。

本来であれば現在(2020/05)に染色キットが完成して、遠隔地の母子を対象にテストを実施している頃なのですが、残念ながら新型コロナ渦中の影響がありキット開発が停滞している状態です。しかし、この機会だからこそ入念に作り込む時間が得られたのだと思い直し、本プロジェクトに関わる諸々の精度を上げ、新型コロナ収束後に即動けるよう、ワクワクのストック期間にしたいと思っております。

ということで、今回はこの辺で!

今回も長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。

次回でもよろしくお願いします!

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