ベビーモスリン物語~第8話~

本のタイトル:復興から自立への「ものづくり」

2019年3月11日は東日本大震災が起きてから8年を迎える日です。

今回は震災当時のお話とともに、ベビーモスリンの活動が本に掲載されましたのでご紹介させていただきたいと思います。

さて、ベビーモスリンを製造販売する僕らNPO法人ピースジャムは、2011年の震災直後は赤ちゃんとママへ支援物資を手渡しする活動をしていて「災害時乳児救済ボランティア・ピースジャム 」という名で活動していました。赤ちゃん好きの独身男性8割による集団です(力仕事&移動で瓦礫を越えたりもする)。そんな集団が「地域の未来はどう在るべきか」なんて普段思ったこともない、触れたこともない大それたテーマに初めて、そして大真面目で向かい合ったのが2011年の3月です。

物資を届ける様子

赤ちゃん用の物資を届ける様子 2011.7

当時、東北沿岸部はどこへ行っても瓦礫だらけで、僕らのような地元民からすれば失った生活と思い出を塊で見せられているような毎日でした。しかし失えば失った以上に創造したくなるのが人の性分。そこで僕らのような任意で集まった母子サポートチーム(お寿司屋さんとか魚屋さんとか薬剤師さんとかソーシャルワーカーとか左官屋さんとか塩辛屋さんとか大工さんとか色々共通点のない人達)が、地域や社会という単位に何を創って貢献できるのか?なんて机上の空論をしていると「なにもできないな(笑)」ってなり、じゃあ「私たちはどう生きたい(在りたい)のか」という生々しい議論に変わっていくと全員が意見を述べ始め、そのうち「笑って支え合いたい」とか「利害を越えた関わり合いが欲しい」とか「育児期をみんなで」とか、なんとも抽象的だけど理想的で、そうだよね、当然だよねっていう人間の根っこみたいな話がたくさん出てきて、もしそれらがリアルな日常の景色になった時に地域や、そこに生きる一人にはどんな豊かさが生み出されているだろう、なんて想像してワクワクしました。

実際のところ僕たち大人は「支え合いなんて当然なこと」のように子どもに教えますが、本当に支え合いができているのかというと、日常や社会に目を凝らせば孤独や孤立は少数の抱える問題でもありません。職場でも家庭でも然り、もし僕らが「誰かが我慢する社会」の上に生きているのならば、これから創るべき姿は「誰かが我慢する」ではなく「支え合い」なのではないかと結論づいて、母子の生活サポートをしていた僕らは育児も仕事も支え合う「ものづくり」を始めることにし、ジャム作りから始めて翌年2012年からはベビーモスリンをスタートしました。

その後ベビーモスリンはおかげさまで多くの皆様にご愛用いただいたり、応援をいただいたり支えられたりしながら歩んでこれました。本当に感謝の限りです。

2011年以降は僕たちのベビーモスリン以外にも東北のいたるところで、もの以外の豊かさも創出しようとするチャレンジが「ものづくり」の現場で盛んになり、ついには『復興から自立への「ものづくり」』というタイトルの本として書籍化され、2019年3月1日に全国の書店に並びました。こちらは東日本大震災後に始まった“東北の手仕事”を6年に渡ってコツコツとWEBで紹介されてきた東北マニュファクチュール・ストーリーの内容をまとめた書籍です。ありがたいことに弊団体の「ベビーモスリン」の取り組みも掲載いただきました。未だ課題だらけのため掲載とは恐れ多いのですが、広くご紹介いただき感謝の気持ちでいっぱいです。

 

以下は東北マニュファクチュール・ストーリー「ものづくりの物語 こぼれ話」より転載。

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前略
実は以前にも書籍化の話が出たことはあったのですが、「震災関連本はもう売れない」と立ち消えになっていました。しかし、小学館CODEXの笠井良子さんは「復興の記録としてだけではなく、地方創生やまちづくりのヒントとして、また手仕事の持つ可能性を伝える本として意味がある」と本書を企画してくださったのです。それは、まさに取材を通して私たちが感じてきたことでした。
中略
「多くを失ったまちで“暮らし続けるため”にいまできること、いま必要なことは何か。その問いへの答えとしてものづくりに取り組み、立ち上がる力を得ていく東北の人たちを追い続けてきた飛田さんが綴る“ものづくりの物語”は、なによりもまず、読む者に元気を与えてくれます。しかしそれだけではなく、
・産業のないまちでの新たな仕事づくり
・過疎化が進むまちでのコミュニティーづくり
・子育て中の女性が安心して働けるしくみづくり
・高齢者の生きがいや居場所づくり
・地域の伝統文化を再生するものづくり
・ソーシャルビジネスのしくみづくり
など、“被災地”“復興”というキーワード抜きに、全国の多くのまちで参考にしうる事例集となっています。
まちをつくり、未来を切り拓くイノベーションはどうやって生み出されたのか。課題を乗り越えるための知恵もたくさん詰まった一冊です」
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ということで、本誌ではライターの飛田恵美子さんによって多様な21団体のプロダクトが色濃い物語として綴られています。

復興から自立への「ものづくり」表紙

事例や手法としても、単純な読み物としてもお腹いっぱいの内容ですので、ご興味のある方はぜひ書店にて。おすすめです☆

また、この本、言い換えれば災害を受けても「諦めなかった人たち」の物語でもありますので、日本各地の被災地域の何かしらのヒントや応援に繋がったら本当に嬉しく思っています。

今回も読んでいただきありがとうございました!

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