常時見学できる盲導犬訓練施設。盲導犬の数を増やし、 視覚障がいをお持ちの方が安心して社会に出られるように!

PR犬のナッピーと池田さんとサニエル

日本盲導犬総合センター(富士ハーネス)とは

日本盲導犬総合センターは、盲導犬の一生をトータルにケアすることをコンセプトにした国内初の盲導犬訓練施設。富士山麓の雄大なロケーションで、“盲導犬の里 富士ハーネス”という愛称でも親しまれている。盲導犬や視覚障がいについて理解を深める場として、休館日以外は毎日見学が可能で、盲導犬デモンストレーションやPR犬とのふれあいを楽しむことができる。今回はぼくサニエルが、日本盲導犬総合センター・普及推進部の池田さんにお話を伺ってきました。

普及推進部 池田さん

盲導犬の誕生から終わりまでをケアする施設。

プロムナードから富士山を間近に望む風景

プロムナードから富士山を間近に望む。

――富士ハーネスの概要・コンセプトを教えてください。

富士ハーネス(日本盲導犬総合センター)は、当協会(日本盲導犬協会)が2006年にオープンした盲導犬訓練施設で、「盲導犬の誕生から終わりまでケアすること」をコンセプトに掲げています。施設内には、トレーニングルームや医療室のほか、母犬の出産・育児部屋、訓練犬・PR犬の部屋、盲導犬の仕事を終えた引退犬の部屋、納骨堂や慰霊碑などがあり、盲導犬(候補犬)が生まれてから亡くなるまでの一生をケアできる設備を整えています。

多くの方に、盲導犬や視覚障がいについての理解を深めていただくため、当センターは基本的にいつでも来館・見学の受け入れをしています(※)。団体の方は予約が必要ですが、一般の方は予約なしで見学に来ていただけます。
※水曜日(1・2月は火・水・木曜日)と年末年始を除く。平日は12:00〜16:00/土日祝日は10:00〜16:00

――富士ハーネスは、どんな方の来館が多いですか?

遠足で来ていただく小学校も多くありますし、夏休みの調べ学習で盲導犬のことを知りたいと、親御さんと一緒にいらっしゃる小学生もたくさんいます。民生委員さんも多いですし、社内研修の一環として企業様にご来館いただくこともあります。もちろん、視覚障がいをお持ちの方も見学にいらっしゃいますね。
当センターは建築物としてもユニークで、いくつかの建築賞をいただいていることもあり、建築を学ぶ学生さんや建築関係のお仕事の方もいらっしゃいます。きっかけは何でもいいと思っていて、気軽にお越しいただき、一人でも多くの方に盲導犬や視覚障がいについて理解を深めていただけたら嬉しいですね。

「もっと盲導犬が増えますように」と願うキャンドルナイト。

キャンドルナイトの様子

キャンドルナイトの様子。2017年、日本盲導犬協会は創立50周年を迎えた。

――富士ハーネスでは、どのようなイベントを行っていますか?

イベントとは違いますが、センター内では毎日「盲導犬デモンストレーション」を行っています。デモンストレーションでは、実際に盲導犬の仕事や、訓練を行う様子をご覧いただけます。職員がPR犬と一緒に目の前で実演するため分かりやすく、盲導犬をより身近に感じていただけるはずです。ご来館の際は、ぜひデモンストレーションの時間(※)に合わせてお越しください。
※平日は1日1回14時〜、土日祝は1日2回11時〜・14時〜

定期的に行うイベントとしては、毎年ゴールデンウィークに視覚障がいや盲導犬についての理解を深めていただくイベントや、夏休みには子どもたちが楽しんで勉強できるイベントを開催しています。

ひと味違ったイベントとして開催しているのが、12月の「キャンドルナイト」です。キャンドルナイトでは毎年、日本全国で活躍している盲導犬の実働数と同じ数のキャンドルを灯します。今年は951頭(2017年3月末現在)だったので、951本のキャンドルを灯しました。「日本国内に1頭でも多くの盲導犬が増えますように」という願いを込め、ボランティアや盲導犬ユーザーも含め、お越しいただいたみなさんにキャンドルを灯してもらっています。

――富士ハーネスとボランティアの関わりについて教えてください。

富士ハーネスは、多くのボランティアのお力で支えられています。たとえば、「パピーウォーカー」は盲導犬候補の子犬を1歳になるまでご自宅で育てていただくボランティアです。「キャリアチェンジ犬飼育ボランティア」は、盲導犬にならなかったキャリアチャンジ犬を家族の一員として迎えていただくボランティアで、「引退犬飼育ボランティア」は、盲導犬を引退した10歳前後の犬を家族の一員として迎えていただくボランティアです。

犬の飼育以外では、街頭募金などのイベントをお手伝いいただく「イベントボランティア」や、子犬・訓練犬たちが過ごす犬舎での作業(グルーミング・掃除・洗濯など)をお手伝いいただく「ケンネルボランティア」など、様々な形でボランティアの方々に協力していただいています。

欧米に比べ日本は、まだまだ盲導犬が足りない。

PR犬のナッピーとサニエル。

PR犬のナッピーとサニエル。

――日本の盲導犬事情について教えてください。

欧米に比べると、日本は盲導犬の数が圧倒的に少ないのが現状です。アメリカは3億2000万人の人口に対して盲導犬が約1万頭。イギリスは6500万人の人口に対して盲導犬が約4500頭。それに対し、日本の盲導犬は人口1億2000万人に対して951頭。明らかに少ないですよね。

これだけの差がある原因として、大きい部分では「人と犬との暮らしの文化」の違いがあります。日本では、ひと昔前まで犬と言えば「番犬」で外飼いが当たり前でした。欧米では昔から、犬は「家族の一員」で室内飼いは普通のことです。最近になって日本でも欧米のような飼い方になりつつありますが、社会の受け入れという点ではまだまだです。国によっては、ペットの犬もそのまま電車に乗ったりできますが、日本ではそんな光景は見かけませんよね。

――盲導犬を取り巻く環境にはどんな課題がありますか?

未だに多いのが、飲食店等における「盲導犬同伴での入店拒否」です。盲導犬というのは、ユーザーに衛生管理・健康管理・行動管理などが義務付けられていますが、このことを知っている人は多くはありません。飲食店などへの入店に関しても、身体障害者補助犬法によって「断ってはならない」とされていますが、飲食店の従業員レベルでは知らない人のほうが多いと思います。

「犬は不衛生」「吠えたら迷惑」「保健所から指導される」など、様々な理由での入店拒否があるようですが、そもそも誤解なんですよね。差別ではなく、知識がないことが入店拒否の大きな原因になっていると思います。

「食べること」って本来、視覚障がいの有無にかかわらず誰もが楽しめるものでなければいけません。誰もが、どんな料理でも楽しむ権利があるはずなのに、そうなっていないのが現状なんです。

盲導犬の数を増やすには、社会の理解・支援が欠かせない。

日本盲導犬総合センター 普及推進部 池田さん

日本盲導犬総合センター 普及推進部 池田さん

――盲導犬の数を増やすには、どうしたらいいのでしょうか?

今、日本盲導犬協会における盲導犬の合格率はおよそ4割です。この合格率を上げることは、盲導犬の数を増やす一つの手段になると考えています。訓練技術の向上も重要ですが、盲導犬としての適性は遺伝的な性格に左右されるところが大きいので、繁殖技術の向上も必須です。生き物相手なので難しい面はありますが、以前より合格率は上がっているので、さらに上げていきたいですね。

また、日本で盲導犬と言えば、ゴールデン・レトリバーかラブラドール・レトリバーですが、海外ではスタンダードプードルやドーベルマン、ジャーマン・シェパードなどの犬種も盲導犬として活躍しています。犬種の選択肢が増えることも盲導犬の普及につながるので、当協会としても今後チャレンジしていきたい部分ではあります。

――盲導犬や視覚障がいについての啓発活動も重要になってきますよね?

もちろん、そうですね。盲導犬の入店拒否などの課題はまだまだ多く、そういった課題が解決されないと「盲導犬を持ちたい」と思う人も少なくなってしまいます。それでは困るので、もっと社会の理解を広めていく必要があり、そのためには私たちの啓発活動は非常に重要になってきます。

当協会の運営の観点から見ると、やはり財源は重要です。盲導犬育成費用の約9割が寄付・募金によって支えられています。盲導犬の数を増やすには、第一に社会の理解を得て、安定的に財源を確保することが欠かせません。そのために、盲導犬の育成や視覚障がいをお持ちの方の自立支援に関心を寄せてくれる人を増やし、寄付文化を根付かせていきたいと思っています。

当協会では、募金箱や街頭募金、賛助会員(個人・法人)、法人寄付、個人寄付、遺贈など様々な方法で寄付を受け付けています。今、日本では約3000人が盲導犬の助けを必要としています。盲導犬の育成にご興味をお持ちの方は、ぜひご協力いただければと思います。

視覚障がいをお持ちの方が、安心して社会に出るきっかけを!

富士ハーネスのエントランスにて。盲導犬クイール人形とサニエル。

富士ハーネスのエントランスにて。盲導犬クイール人形とサニエル。

――富士ハーネスと視覚障がいをお持ちの方との関わりについて教えてください。

当センターでは実際に盲導犬との歩行や世話の仕方を体験していただけますので、体験していただいたうえで盲導犬の取得希望をいただく方が大半です。まずは見学にお越しいただき、盲導犬取得の条件や流れをご説明します。貸与ということになったら、1頭目の盲導犬との生活の場合、宿泊研修棟に4週間宿泊して共同訓練をしていただき、その後、デビューというのが大まかな流れです。

盲導犬の貸与後は、1年目は貸与直後・1ヶ月後・3ヶ月後・半年後・1年後に訓練士が訪問し、問題なく歩けているか、生活できているか等を確認し、必要であれば改善するといった形で関わっていきます。2年目以降も定期的な電話と訪問によって歩行や生活の様子を確認しています。盲導犬のシャンプーやイベントなどで、定期的に当センターにお越しいただく方も多くいます。

目の見えない方、見えにくい方が、富士ハーネスの見学や体験を通して、盲導犬との暮らしを選択肢の一つとして検討していただければ嬉しいですね。

――最後にメッセージをお願いします。

盲導犬は、目の見えない方、目の見えにくい方の歩行をサポートし、社会に出るきっかけになる大切な存在です。目の見えない方、目の見えにくい方が盲導犬を持てるように、また盲導犬ユーザーがいつでもどこでも自由に出かけることができるように、一人でも多くの方のご理解をいただければと願っています。

当センターには今、盲導犬の訓練犬が12頭生活しています(2017年12月現在)。いつでも見学できる開放型の施設なので、ぜひお気軽にお越しください!

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ご支援、その他のお問合わせはこちらで受付けております
ホームページ:http://www.fuji-harness.net/
電話番号:0544-29-1010
住所:〒418-0102 静岡県富士宮市人穴381
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