ピースジャム・モリノネ協同の親子イベント!池のほとりで 「しぜんとあそぼ!」を歩く

NPO法人ピースジャムとは

  • NPO法人ピースジャム

2011年の東日本大震災を機に誕生した赤ちゃんとお母さんを支援する団体。宮城県気仙沼市を拠点に子育て・雇用支援を行っている。地域で安心して子育てができるコミュニティづくりを目指し、子育てと仕事を両立できる仕事場の提供と、これによる雇用の創出、お母さん同士の交流の場の提供、子どもが安心して遊べる環境づくりに取り組んでいる。

佐藤さん: サニエル、気仙沼の菖蒲沢(しょうぶさわ)で親子イベントがあるんだ。一緒にのぞいてみない?」
声をかけてくれたのは、ピースジャムの佐藤さん。 春らしい空気が残っていると思ったら、なんとこの日は30度超え。まるで夏の陽気です。

ピースジャムの過去の記事

そんなやりとりを交わして、佐藤さんと一緒に、菖蒲沢の大きな池へと向かいました。

この日は、ピースジャムの拠点でも協働している「自然あそび保育モリノネ」が主催する親子イベント『しぜんとあそぼ!』の開催日。

モリノネでは、地域の自然のなかに親子で出かけていく、そんな野外での保育イベントも大切にしているのだそうです。

今日はその現場を、少しだけのぞいてみましょう。

一般社団法人モリノネ

自由に湧き出すあそび の力

テントの写真

さっそくモリノネのスタッフのみなさんと一緒に、テントを張ったり、遊び道具や自然観察用のアイテムを並べたりと、手際よく準備を進めていきます。

中には「まだかな〜?」と待ちきれずに早めにやってくる子もいるので、ちょっとフライング気味に準備を始めるくらいがちょうどいいとのこと。

気温はすでにぐんぐん上がっていて、じっとしていても汗ばむような陽気。けれど木陰に吹く風は気持ちよく、これから始まる一日の風景を、なんとなく想像させてくれました。

そうこうしているうちに、親子のみなさんが集まってきました。

子どもたちの写真
子どもたち、元気に到着です!

朝の会で「おはようございます!」と元気な挨拶を交わしたあと、子どもたちの足音が芝生の上を駆け出し始めると、場の空気が一気に弾けていきました。

工夫するって、面白い

虫取りをする子どもの写真

虫取り網を握って、意気揚々と遊び始めた男の子が、突然少し困った顔。 どうやら虫がなかなか捕まらないようで、立ち止まって考え込んでいましたが、しばらくすると、彼は網の中に葉っぱを入れはじめました

自然と子どもの写真
ここにいい葉っぱがある!

サニエル:なんで葉っぱを入れてるの?
「葉っぱを入れておけば、虫が食べにくるかもしれないから!」

網に葉を入れている写真
虫が食べていた穴あきを入れるといいかも!自然から、新たなアイディアと工夫を学んでいます

佐藤さん:その発想はなかった!すごいですね。誰に言われたわけでもないのに、自分でうまくいかないことを受け止めて、やり方を変えています。特に、穴あき葉っぱは美味しいから食べた痕跡がある、だから穴あきを網に入れればいい、という発想。虫が捕まるかどうかの結果は置いておいて、試行錯誤の過程自体に夢中に取り組んで学んで、とても楽しんでますね。子どもって、ほんとうに工夫の天才なのかもしれません。

と、そんな話をしていると…池の向こうで何かが動きました。

白鳥と、出会えなかったからこそ

白鳥の写真

 「・・・白鳥だ」と佐藤さんがつぶやきました。

一羽の白鳥が、羽を広げることもなく、地面を走るように歩いていきます。 飛べなくなって取り残された白鳥だそうです。
子どもたちにその話をすると、「見たい!」と声が上がり、あっという間に白鳥探し探検隊が結成されましたが、白鳥はどこかに行ってしまい、会えませんでした。 でも、ラジコンのヨットを操る方と出会ったり、大きな鯉が泳ぐのをじっと観察したり、変わった形の葉っぱを拾って、、と、白鳥の代わりにたくさんの出会いを抱えて、探検隊は戻ってきました。

ソリを引く写真
お母さんとソリでGO!
転ぶ画像

たこあげや、シャボン玉、お絵描きに昆虫採集、葉っぱや木のみの採取まで遊び方は自由で無限大!

「今日って、どんな時間でしたか?」

お母さんたちに、聞いてみました。

参加者の親子

「最近、本当に自分の時間っていうのがなくて」
そう話しはじめたお母さんに、周りの人たちもうなずきます。

「子どもを寝かせたあと、気づいたら自分も寝落ちしてて。一日が終わったとき、あれ、今日って私なにしてたっけ?って思うこともあるんですよね」

「うちもそう。ちゃんと育てなきゃ、って思えば思うほど、息が詰まっちゃって」

「遊び場がどこにあるか分からないのもあるんですが、ただ遊具で遊ぶんじゃなくて、子どもたちには自然の中で身も心も自由に遊んで学んでほしいんですよね」

「わかります!だから私もこの親子イベントはいつも楽しみにしているんです。あと、空を見て、風に吹かれてるだけで、あ、今ここにいるなって。がんばって何かをするんじゃなくて、ただ呼吸してるだけで、心が少しほぐれた気がしました」

「うちは、ほんとは市外に引っ越す話も出てたんです。でもモリノネがあって。子どもがここでこんなふうに自然に囲まれていきいきと過ごしてるのを見たら…やっぱりこのままここで暮らしたいなって」

佐藤さん:発見していたのは、子どもたちだけじゃなかったんだね!

今日いちばん印象に残ったのは?

佐藤さんに聞いてみましょう。

ソリを引く佐藤さん

佐藤さん:今日いちばん印象に残ったのは、決まった正解がない中で、子どもも大人も、終始、自然にたいしてそれぞれ自由に関わり合っていたことです。遊び方が用意されているわけじゃなくても、子どもたちは自分なりに気になったものに手を伸ばしたり、しゃがみこんで観察したり、試すように何かに取り組んでいました。 最近は、思いきり遊べる場所や「危なくてもやってみる」ことを見守ったり、受け止めてくれる環境が減っていて、子どもたちが自然と触れ合う機会も少なくなっています。
でも、こういう自然に触れあえる場所に来ると、身体全体で世界に触れようとする力がちゃんと働く。

特に幼い時期の子どもって、言葉や理屈よりも、音やにおい、風の肌ざわりとか、五感を通して世界を感じているんですよね。その感覚が日常的に活きて働く機会があることは、成長の過程で実はすごく大きな意味を持っていると思います。

だから今日のような時間は、ただ楽しいだけじゃなくて、自分なりに確かめて、感じて、納得していくプロセスが自然に育っていく時間でもある。子どもにとっても、親にとっても、そういう場所が当たり前にある社会であってほしいですね。ということで、サニエル今日はありがとう!また遊びにきてね!

こちらこそありがとうございました。

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