神奈川訓練センターにおじゃまして盲導犬訓練士とPR犬に会ってきました!

サニエルとPR犬ナディア

公益財団法人日本盲導犬協会神奈川訓練センターとは

公益財団法人 日本盲導犬協会の神奈川訓練センターは、トレーニング室などを完備した訓練棟と、医療設備などが整えられた犬舎棟から成る盲導犬育成のための専門施設。協会全体で年間50頭の盲導犬の安定的な供給をめざし、活動している。今回はぼくサニエルが盲導犬訓練士の平さんにお仕事の内容や盲導犬の訓練方法などのお話を、そしてPR犬”ナディア”に歩行訓練の様子を見せてもらいました。

平さん

 多岐にわたる盲導犬訓練士の仕事

PR犬のナディアによる歩行のデモンストレーション

PR犬のナディアによる歩行のデモンストレーション

公益財団法人 日本盲導犬協会の神奈川訓練センターは盲導犬訓練の拠点となる施設。常時およそ50頭の訓練犬がいて、日々盲導犬訓練士が犬の訓練を行っている。「盲導犬は生後2ヵ月から1歳になるまでの約10ヶ月間、パピーウォーカーと呼ばれるボランティアの家庭で愛情を受けて育ち、そのあと訓練センターにて盲導犬になるための訓練がはじまります」と話すのは盲導犬訓練士の平さん。

「盲導犬訓練士は犬とかかわる仕事だと思われがちですが、実はそれ以上に重要なのが『人とのコミュニケーション』です。盲導犬を利用するのは人間なので、目の見えない方、見えにくい方に盲導犬への指示出しの仕方や歩き方を教えたり、パピーウォーカーに子犬との接し方を伝えたりと、いかに人に上手く伝えるかということが大切になります」。盲導犬訓練のほか、パピーウォーカーへのサポートや、盲導犬ユーザーが盲導犬と歩くことを学ぶための共同訓練、盲導犬ユーザーへのフォローアップなども盲導犬訓練士の仕事だ。

「教えてほめる」を積み重ねていく盲導犬訓練

説明する平さん

お話を伺った平さん

盲導犬の訓練は、大きく分けて「基本訓練」「誘導訓練」の2種類。基本訓練は人間と犬が信頼関係を築くための大切な訓練であり、犬とのコミュニケーションが重視される。誘導訓練は「角を教える」「段差を教える」「障害物を教える」という動作を身に付ける。基本訓練、誘導訓練を経て盲導犬ユーザーの生活に合わせて歩行訓練などをする「共同訓練」を行い、その後盲導犬としてデビューする。

「盲導犬候補となる犬は、子犬の時からパピーウォーカーに『Good』という言葉でたくさんほめてもらい、人から愛情をいっぱい受けて育ちます。人と同じで犬もほめられるのが好き。パピーウォーカーとの生活やほめられる経験を通して人が大好きになり、ほめられることをしたいと思うようになります」と平さん。

「訓練でも、例えば段差を教えることができたら『Good』といってほめる。犬はほめられるとうれしくなって次も段差を教えよう、角を教えようと自ら進んで仕事をするようになります。盲導犬にとっては仕事という認識はなく、ほめてもらえることを一つひとつやっているという感覚でしょう。訓練士は犬と密にかかわり、教えてほめることを繰り返していくので、よく『子育てみたいだね』といわれます(笑)」

犬によって覚えるスピードや得意不得意が異なるため、それぞれの犬に合わせて訓練をしている。盲導犬訓練士はその子の性格や能力を見極め、盲導犬になったときの姿を想像し、その子のよさを最大限に生かせるようにアプローチしている。

歩行に必要な視覚情報をおぎなうのが盲導犬

「左に入って停止」は『角を教える』合図

「左に入って停止」は『角を教える』合図

目の見えない方、見えにくい方にとって必要な情報をおぎない、歩行をサポートするのが盲導犬の役割。「盲導犬ユーザーは盲導犬が道案内して歩行していると思われがちですが、それは違います。盲導犬の仕事は、主に『角を教える』『段差を教える』『障害物を教える』の3つです。これらの情報は盲導犬ユーザーにとってはあくまで視覚を補う情報のひとつであり、盲導犬だけを頼りにして歩いているわけではありません」と平さんはいう。

盲導犬ユーザーは盲導犬についているハーネスから伝わる情報のほかに、「におい」、「周囲の音や風の流れ」、「足の裏の感触」といった情報などから、その先に進むことが安全かどうかを判断している。「例えば、角を教える合図として盲導犬は左に入って停止しますが、ユーザーはその情報に加え『角に入ったら風の流れが変わった』『車のエンジン音が近くなった』といった情報を自分で集め、この先が角であることを判断します。安全に歩行できるか判断するのはあくまでも人間なのです」と平さん。

デビューしてからが本当のスタート

お話しする平さん

日本盲導犬協会の活動の目的は、視覚に障がいのある方に安全で快適な盲導犬との歩行をしてもらうこと。

「子犬から見てきた犬が盲導犬になった時はもちろんうれしいですが、それよりも『ようやくスタート地点に立ったな』という想いのほうが大きいです。盲導犬としてデビューし約8年間、ユーザーと盲導犬は一緒に生活します。ユーザーがいつでも安全で快適に歩けるよう、いつでも相談できる体制をととのえ、また定期的に盲導犬ユーザーへのフォローアップなども行い、サポートを続けています」と平さん。

犬が一番幸せになれる道に導いてあげたい

三頭の盲導犬の写真

「私たち盲導犬訓練士は、犬にとって最善の道をなるべく早く決めてあげたいと考えています。盲導犬に向いている犬もいればPR犬に向いている犬もいるし、一般家庭にいることが幸せな子もいます。盲導犬訓練士はその判断をできるだけ短期間で行い、その犬が幸せになる道を見つけてあげたいと思っています。盲導犬になるかどうかの判断が早くなれば、その分訓練を早くはじめられますし、早く盲導犬が育てば次の盲導犬を育てることができ、盲導犬の頭数を増やすことにもつながります」と平さん。

今後はパピーの育成にも力をいれていきたいという。

「人間と一緒で、犬も赤ちゃんの時からのかかわりが将来に大きく影響します。盲導犬に向いている犬を数多く輩出するには、パピーのときからの育成が重要です。パピーウォーカーが定期的に神奈川訓練センターに来てくれるので、その時にしつけや育て方をアドバイスしたり、パピーウォーカーのお宅に訪問して暮らしぶりを見て相談に乗ったりとパピーの時から積極的にかかわりをもつようにしています」

人間と犬の架け橋となる盲導犬育成の仕事

多岐にわたる盲導犬訓練士の仕事や盲導犬の役割など、初めて知ることばかりでとっても勉強になったよ。見せてもらったデモンストレーションではPR犬のナディアが仕事をきっちりこなしていて、とってもカッコよかった!

人間とも犬とも密にかかわる盲導犬育成の仕事は、人間と盲導犬をつなぐ架け橋となっているんだね。目の見えない方、見えにくい方に安全で快適な盲導犬との歩行をサポートする日本盲導犬協会の活動を、サニエルはこれからも応援します!

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