── 楽しい芋掘りイベントがあると聞いてやってきました。
ピースジャム佐藤さん:
サニエルはなんでも知っていますね!今日行われるイベントはピースジャム工房のご近所で、農家並の規模で家庭菜園を営まれている吉田さんの畑で催される子どもたちの自然体験イベントです。地域の方や世代間の親睦を深める良い機会にもなります。 今回の主役、 自然あそび保育モリノネの親子のために吉田さんが下準備をこしらえていますので、会場の畑に一緒に行ってみましょう!
景品は…大きな里芋や丸々とした柿や、長芋など、ほかにも様々なプレゼントが用意されていました。子どもたちが畑で直接収穫できるという体験付き。
──プレゼント(景品)も収穫体験というところが面白いですね。
吉田さん:
普段食べているものが食卓に上がる前まで、どこでどのように育っているかと関心を向けたり、実際に触れたりして知ることも大切ですからね。
佐藤さん:
スーパーで並んでいる状態と違いますもんね。子どもたちの学びにとても活きていくと思います。とはいえ、土を掘り起こしやすいようにここまで下準備をしていただいて、ご準備に相当お時間がかかったのではないでしょうか。
吉田さん:
皆さんに喜んでもらおうと思ってね(笑)特に長芋なんて深く掘らなきゃ見えないので下準備は必要だけど、今の子どもは昔と違って汚れることを嫌う傾向もあるかなと思っていてね。少しでも汚れないように工夫してみたんです。
佐藤さん:
土で服が汚(よご)れても、土自体は汚(きたな)いものではないんですけどね。未就学児には土に触れることだけでも学びが沢山あるので、たくさん土や自然に触れ合ってほしいですが、今の子どもは自然に不慣れだったりするんですかね。
吉田さん:
昔は遊び場といったら野山の自然が当たり前で、そこから学ぶことも多かったんですが、今は自然や里山があったとしても、遊び方がわからなかったり、遊び方を教える人がいなかったり、また、自然に触れやすいように工夫された施設に代替されていたりもしています。いろいろな理由があるのでしょうけど、子どもたちにとって自然に触れる機会が単純に減っているのは事実ですよね。
佐藤さん:
僕の子ども時代(1980年代)は落ちている椿の種をくり抜いて笛を作ったり、拾った胡桃を割って食べたりといった遊びが当たり前でしたが、確かに今はなかなか見ませんね。そういえば親御さんも柿の収穫は初めてだったそうで、とても喜んでいました。親御さんにも感想をちょっと聞いてみましょう。
──今回の芋掘り(自然体験)イベントいかがだったでしょうか?
親御さんA:
とっても楽しかったです。気仙沼に自然はたくさんありますが、手付かずの自然が多いため、小さな子どもは遊ぶのが難しい印象です。毎週末、子どもの遊べる場所を探しても、遊びに行くのに車で片道1時間ほどかかるなど、身近なところに自然の遊び場がないので、このようなイベントに参加できて本当に嬉しいです。
親御さんB:
キャンプやBBQなどのアウトドアはしていますが、柿の収穫は私自身も初めてでした。日常の生活と自然が共存している関わり合いを感じられて、子どもにこういった体験をたくさんしてほしいなと感じました。
親御さんC:
このような機会を通じて、吉田さんのような地域の温かな方と繋がれることも嬉しかったです。
吉田さん:
皆さんに、そう言っていただけて嬉しいです。
佐藤さんも長芋は掘ったことないでしょう。帰る前に長芋を掘っていきましょうね。
佐藤さん:
人生初の長芋掘り、99%掘っていただいて1番いいところだけ掠(かす)め取るように収穫させていただいてすみません・・(笑)本日は本当にありがとうございました。
── 無事終了しましたね。本日のイベントを振り返ってみていかがでしょうか?
佐藤さん:
子どもたちにとって素敵な学びと経験に繋がったのではないでしょうか。これもモリノネさんが地域と関わり合いながら保育をしていることや、吉田さんをはじめとする地域住民の子どもに寄り添う想いが生んだ賜物だと思います。ひなちゃんはいかがでしたか?
松田さん:
吉田さんのお宅には、普段から子どものお散歩でも立ち寄らせていただいていて、いつもお世話になっています。秋の収穫時期にこのようなイベントを子どもたちのために開いていただいて大感謝です。今日のイベントでは畑を自由に全部使っていいというお申し出をいただいており、子どもが自然の中でのびのびと学んでいる姿を親御さんにお見せできる機会でもありましたので、多少危ないことがあっても親御さんには行動を止めずに見守るよう、朝の会で共有していました。子どもたちも自然の包容力の中でいきいきと過ごせており、本当に良い機会になりました。地域の方が積極的に子育てや子どもに関わることで、地域が元気になりますよね。
佐藤さん:
そうですね。子どもたちが笑顔だと大人も地域も元気になりますもんね。僕の幼少時代を思い出したんですが、昔は地域住民と関わることが当たり前だったので、大人も子どもも顔見知りだったのを思い出します。登下校ですれ違えば挨拶をし、いたずらがバレて叱られたり、釣り船に乗せてもらったり、下校中に魚や野菜を持って行けと持たされたり(笑)当たり前の日常でしたが、これらはうちの家や両親と接点のない人たちからの施しです。正直、幼少期は近すぎるその距離感が嫌だった記憶もありますが、地域全体で見ると、見守りの目や手もそれだけ多かった賑やかな時代だったのだろうと振り返ります。
──子どもへの地域の見守りや関わりは減っているんですか?
佐藤さん:
昔より減っていますね。関わり合い以前に、意識的に挨拶運動を取り入れている学区はありますが、子どもの登下校時に地域住民と挨拶する光景は珍しくなりました。
──どんな要因が考えられますか?
挨拶が減った原因は様々なため一概には言い切れませんが、世帯の核家族化が進んだことで、地域全体での子育て意識や共同体意識が薄まっていたり、インターネットやSNSの発展による対面でのコミュニケーションの減少や子どもの安全への過敏な警戒意識、自治会や地域の行事の衰退など、時代の変化が絡み合っていると思います。
以前、子ども支援の会議に参加した際に、挨拶がなくても地域にデメリットは無いのでは?という意見が住民から上がったことがきっかけで、子どもの挨拶の有用性について調査をしたことがあるんです。知らない大人に声をかけられたら不審者の可能性があるから、無視して逃げて保護者やお店の大人に報告しよう、といった風潮がありまして、気仙沼でも10年ほど前に行政が発行した不審者対策の注意勧告のチラシに記載されていていました。震災後に様々な人が訪れていたこともあるので意図するところは分かりますが、地域から挨拶の機会が減り、住民間、特に世代間の関わり合いが薄れる結果につながっていました。
元来、挨拶というのは形式的な行為ではなく「相手を気遣う心」や「繋がりを築く行為」としての意味がありますので、挨拶が少なくなると人間関係も希薄化する、という結果に妙に納得したのを覚えています。地域へのヒアリングでは、子どもが泣いていても、喧嘩をしていても、不審な大人に声をかけられていても、親切心が裏目に出て不審者に見られるかもしれないから声をかけるのをやめておこう、といった意見も少なからずありました。
「不審者」には明確な定義がないので、「怪しい」と主観で思われたら不審者です。不審者と判断されることへの恐怖心もわかりますが、それでは問題の放置につながってしまいます。不審者は全体のごく一部の人だと思うので、地域全体でお互いに関心を寄せ合って子どもと接点を持っていた方が、子どもの見守りの目と同様に不審者への監視の目となるでしょう。
それにより、子どもがSOSを出しやすくなりますし、地域全体を守りやすくなると思います。また、本日の吉田さんのお話のように、地域内での繋がり合いが増えれば、世代の垣根を越えた笑顔が地域に増えていくのではないかと思っています。
──本日はありがとうございました。それでは最後に何かお願いします。
佐藤さん:
今日はサニエルが来てくれたおかげで子どもたちと大変楽しく過ごせました。いつも応援してくれてありがとうございます!
募集になるのですが、現在自然あそび保育モリノネでは園児と保育士を大募集しています。
園児とともに、保育士としても一緒に成長していける職場ですので、気仙沼への移住や転職をお考えの方は、ぜひお気軽にホームページからお問い合わせください。
本日はありがとうございました。