雪の日の餅つき体験。地域とともに育つ、子どもたちの生きる力

餅つきをしている画像

NPO法人ピースジャムとは

  • NPO法人ピースジャム

2011年の東日本大震災を機に誕生した赤ちゃんとお母さんを支援する団体。宮城県気仙沼市を拠点に子育て・雇用支援を行っている。地域で安心して子育てができるコミュニティづくりを目指し、子育てと仕事を両立できる仕事場の提供と、これによる雇用の創出、お母さん同士の交流の場の提供、子どもが安心して遊べる環境づくりに取り組んでいる。

ピースジャム佐藤さん:おーい、サニエル!今日、餅つきがあるよ〜

そう声をかけてくれたのは、ピースジャムの佐藤さん。

この日行われたのは、自然あそび保育モリノネの子どもたちの餅つきイベント。会場は、雪であたり一面真っ白の、ピースジャム工房にある遊具広場です。

注意事項を説明している
参加者のみんなで自己紹介。怪我がないように注意事項をみんなで共有します。

サニエル:たくさんの人が集まっていますが、みんなはモリノネに通う親子ですか?
ピースジャム佐藤さん:モリノネスタッフの、ことりちゃんに聞いてみましょう。

モリノネのことりちゃん
モリノネスタッフの中村 祐美さん(モリノネでの愛称は、ことりちゃん)

モリノネことりちゃん:今回のイベントに参加してくれているのは、モリノネに通う子どもたちとその保護者、そして地域の方々です。合計31名もの親子が訪れていますよ。子どもは0歳児から小学校6年生までと、幅広く集まっています。

さっそく餅つき〜!といきたいところですが、まずは薪割り、屋外の薪ストーブで餅を蒸すところからです。サニエルも子どもたちと一緒にやってみましょう!

薪割りをする子ども
子どもたちも一緒に薪割りからスタート

サニエル:これは何をしているんですか?

モリノネことりちゃん:餅米を薪ストーブで蒸す前の工程で、火をくべるための薪を割っているんだよ。
子どもたちのやりたい気持ちを尊重し、大人が必要以上に手を貸さないで見守ることを大切にしています。ちなみに今回は、地域の田んぼをお借りして、園の子どもたちが田植えから収穫までしたもち米を使用しています。だから全て手作りでここまで進めてきたんだよ。

ストーブで暖まる男性と子どもたち
薪ストーブで餅米を蒸しながらついでに暖をとります。この日の気温は0度。

餅米を蒸している一方で、餅の味付けに使う胡桃を割る子どもたち。

胡桃を割る子ども
胡桃を適度な力加減で叩かないとうまく割れずにどこかに飛んでいき、その度に笑い声が飛び交います。

悪戦苦闘しながらもたくさんの胡桃が集まったね!みんな嬉しそう♪

胡桃を割った子ども

そんなこんなをしていると、餅米が蒸しあがったみたい。

もち米を蒸している男性

お餅をつく前の餅米を、みんなで味見をしてみます。
突然、あの真っ白いお餅になるわけではないので、形や味、質感も含めてどう変化していくかを子どもたちが体験することも大切なポイントだとスタッフさんが教えてくれました。

さあ、いよいよ待ちに待った餅つき開始です!

まずは大人のみんながお手本を見せると、子どもたちの表情がワクワクでいっぱいに!

よいしょー!よいしょー!元気なかけ声とともにぺったんぺったん。
重たい杵を一生懸命振り上げて、みんなで順番に餅をついていきます 。

餅をつく子どもたち
餅をつく子どもたち

「よいしょー!」「がんばれー!」という応援の声も自然と飛び交い、つくごとに餅が柔らかくなっていく様子に、子どもたちの目もキラキラ。

ある子は、「ちょっと怖かったけど、お母さんと一緒にやったら楽しかった!」と、餅つきを終えたあともずっと笑顔で杵を握っていました。

そしてついに実食!

つきたてのお餅は、みんなで作ったきなこや胡桃、いそべで味付けされて、お汁と一緒に振る舞われました。

ふうふう冷ましながら口に運ぶ子、丸くちぎった餅をお母さんの口に「あーん」する子、 みんな、ほっこりあたたかい表情。

「餅つきって家ではなかなかできないから、こうして親子でできるのはありがたいです」と話すお母さん。
一緒にいたお父さんも、「地域の人とも自然に話せて、いい時間になりました」とにっこり。

ことりちゃんに聞いてみた

お餅を頬張りながら、ことりちゃんに尋ねてみました。

サニエル:ことりちゃん、今日のイベント、すごくにぎやかですね〜。こういう行事って、自然保育ならではの良さが詰まっている気がするんだけど、どんなところに魅力を感じますか?

モリノネことりちゃん:そうですね…子どもたちが地域の人やいろんな世代と自然に関われることが、やっぱり大きいかな。こうやって一緒にお餅をついたり食べたりするなかで、子どもも大人も笑顔になるのを見ると、ほんとに温かいなって思います。

サニエル:今日の「よいしょー!」の声もすごく元気で、見ているこっちが楽しくなっちゃいましたよ。こういう場に、毎年参加する人もいるんですか?

モリノネことりちゃん:いますよ。「毎年このイベントに参加して新年が始まったと感じる」って言ってくれる親子もいて、モリノネもイベントも地域に根付いているなって思います。
今回のスタッフは初めて参加する人も多かったけど、参加者の多くはイベントの常連さん。勝手がわかっている上に温かく協力してもらえて終始安心感がありました。

サニエル:なるほど〜。それはこういったイベントを継続してきたからこそなんですね。ところで、ことりちゃんはいつからこの現場で働いているんですか?

モリノネことりちゃん:去年の7月からです。ちょうど夏ごろかな。最初はもうすっかり出来上がっているチームに入る形だったので、ちょっと緊張していたんですけど…スタッフのみんなが本当に優しくて、私のことも自然に受け入れてくれて。

サニエル:それはステキですね!実際に働いてみて、この職場の魅力ってどんなところに感じますか?

モリノネことりちゃん:やっぱり、「こうしたい」って思ったことを気軽に相談できる風土があるところですね。そして、子ども自身の「やってみたい」という気持ちを大事にしている。たとえば、川に行きたい子と近所で遊びたい子がいたら、子どもたち同士で話し合って決めることもあるんですよ。

サニエル:子どもが自分で決めるって、すごく大切な経験ですね。

モリノネことりちゃん:そう思います。誰かに決められるんじゃなくて、自分で考えて、自分で選ぶ。そういう小さな積み重ねが、自分で生きていく力につながっていく気がします。

サニエル:ことりちゃんの願いが、子どもたちにちゃんと届いている感じがします。

モリノネことりちゃん:ありがとうございます。子どもたちがより自由に、豊かに、のびのびと生きていけるように、これからも関わっていきたいなって思っています。

佐藤さんに聞いてみた

NPO法人ピースジャムの佐藤賢さん
NPO法人ピースジャムの佐藤賢さん

サニエル:今回のイベントを振り返ってどうでしたか?

ピースジャム佐藤さん:もちつきのかけ声が響くなか、子どもたちが餅つきのやり方を教え合ったり、順番を見守ったり、自然と協力し合って場を作っている姿が印象的でした。その様子を見ていると、子どもたちは単に餅をついているだけではなく、「関わる力」「自分で考える力」「他者を信じる力」を遊びの中で育んでいるのだと感じさせられます。

こうした遊びや地域行事の場は、子育て家庭にとって貴重な社会資源でもあります。
気仙沼市でも核家族化、子育て家庭の孤立、経済的・心理的余裕のなさなど、地域の子育て環境をとりまく課題は年々深刻さを増しています。そのため、行政の制度だけでは届かない「心の支え」や「安心できる関係性」をどう補っていくかが、私たち地域側に問われています。

餅つき以外にも雪遊びなどで遊びました

ピースジャム佐藤さん:今回のイベントでも、餅つきの傍らで子どもたちは雪遊びや凧揚げに思いきり取り組み、大人たちはその姿に目を細めながら緩やかにつながっていました。
遊びを通じて「ただ一緒にいる」ことの豊かさを実感できる、こうした余白のある時間は、制度的支援とはまた異なる次元で、地域や子どもの成長にとってかけがえのないインフラになり得ると思います。

また、若い世代のことりちゃんが初めて現場に入り、「最初は不安だったけど、あたたかく迎えてもらえて安心した」と語ってくれたことも印象的でしたね。提案がしやすく、意見を受け止め合える風土があるからこそ、新たな担い手が育ち、地域の営みが継続されていきます。
これは、単なる人材育成ではなく、地域全体の活性化でもあり、自分たちの手で地域の未来をつくる力が芽吹いている証だと思ってみていました。

ピースジャム佐藤さん:制度が行き届かない領域にこそ、こうした草の根の実践が力を発揮します。そして行政との連携があるからこそ、点の活動を面に広げ、持続可能な支援のしくみに転換していくことが可能になります。

今回ご紹介した「モリノネ」は、まさにそんな現場です。
子育てや福祉の制度だけでは拾いきれないニーズに寄り添いながら、地域の自然と暮らしを土台に、子どもたちの育ちと家族のつながりを支えています。
こうした子どもたち一人ひとりの「やってみたい!」を応援する場づくりが日頃からあったからこそ、今回のイベントでも、子どもたちは全身で冬を楽しみ、思いきり自分を表現していました。
こうした営みの中から、地域の中で子どもも大人もエンパワメントされていくプロセスが、確かに生まれています。

そんなモリノネでは現在、「子どもたちの未来を一緒に育んでいきたい」という仲間を募集中です。「こんな場所を探していた!」と感じる方にこそ、ぜひ知ってほしい現場です。
活動の様子やスタッフの声、採用情報などは、モリノネの公式ホームページからご覧いただけます。どうぞ一度、覗いてみてください。

サニエル:佐藤さん、モリノネの皆さんありがとうございました。

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