「自然しらべ2018 アリ博士になろう!自然観察会」にいってきました。

アリ観察会集合写真

「自然しらべ」とは?

「自然しらべ」は、日本自然保護協会(NACS-J)が全国的に実施する市民参加型の自然環境調査。毎年、違うテーマを設けて調査をおこなっている。2018年の自然しらべのテーマは、「身近なアリしらべ!」。今回は、ぼくサニエルが「身近なアリしらべ!」の一環としておこなわれる自然観察会に参加(国立オリンピック記念青少年総合センター)。日本自然保護協会の辻村さんにお話を伺うとともに、アリ博士・寺山先生の講義を受け、子どもたちと一緒にアリを探してきました。

日本自然保護協会の辻村さん

■アリの生態から、自然の健康状態を知る取り組み。

アリ探しの様子

身近なところにアリがたくさん!

──「自然しらべ2018 アリ博士になろう!自然観察会」について教えてください。

日本自然保護協会では、毎年「自然しらべ」という市民参加型の自然環境調査をおこなっています。これまで、カメやチョウ、セミの抜け殻などさまざまなテーマで調査をしてきましたが、今年はアリをテーマにした「身近なアリしらべ!」をおこないます。このアリしらべの一環として、専門家の先生を招いて8月4日に東京でおこなうイベントが「アリ博士になろう!自然観察会」ですね。

──「身近なアリしらべ!」では、どんな調査をするのでしょうか?

アリしらべの調査自体は、全国的に7月21日から9月30日まで実施しています。家の庭でも近所の公園でも学校のグラウンドでもいいのですが、身近な場所でアリを見つけていただき、マニュアルの写真と見比べて種類を特定して調査票を提出してもらう、というのが一連の流れです。

大きな目的は、アリの生態調査を通して「日本の自然が今、どういう状態にあるのか?」「昔と比べてどういうふうに変わってきているのか?」といったことを明らかにしていくこと。言わば「自然の健康診断」ですね。

 

日本だけでも300種類のアリがいる!?

身近なアリしらべ!のマニュアル。

身近なアリしらべ!のマニュアル。

──すごいマニュアルですね。アリってこんなにたくさんいるんですか?

アリは日本だけでも300種類ほどいますが、今回のマニュアルには、比較的見つけやすいアリを40種類くらいピックアップして載せています。「そんなにいるの!」って思われるかもしれませんが、公園に行けば10種類くらいは見つかりますし、築年数が古い家の庭とかなら20種類以上は見つかると思いますよ。

今回は、マニュアルづくりが大変でした(笑)。例年、夏休みの自由研究として自然しらべに取り組んでくれる子どもたちが多いので、子どもたちにも分かりやすいような分類でつくったんですけど、最初は見分けが難しいかもしれません。そもそも、アリって小さいですからね(苦笑)。

──見分けるためのポイントはどんなところですか?

大きなポイントは、胸部と腹部の境目にあるコブ(腹柄:ふくへい)が1つなのか2つなのか。ここで最初の分類ができるので、ルーペを使って、がんばって見極めてもらえればなと。あとは、大きさですね。マニュアルには実寸大のイラストも載せているので、照らし合わせて識別していただきたいです。

 

■多種のアリが見つかれば、それだけ豊かな環境があるということ。

アリを見つけた女の子

アリさん、こんなに見つけたよ!

──今年の自然しらべは、なぜアリをテーマにしたのですか?

身近な環境を調査するのに、アリって最適なんです。それが、アリをテーマにした理由の一つですね。たとえば、多くの種類のアリが見つかれば、それだけ豊かな環境があるってことですし、逆にアリの種類があまり見つからなければ、何らかの原因で環境が破壊されているってことが分かるかもしれません。自然しらべでアリを調べるのは初めてなんですけど、全国一斉にアリの生態調査をする事例としても初じゃないかと思います。結果は分かりませんが、どんなデータが出るか楽しみですね。

もうひとつ、アリをテーマにした理由は、去年からの「ヒアリ騒動」です。ヒアリのニュースが流れるやいなや、ホームセンターで殺虫剤が売り切れるみたいな状況になりましたよね。でも、専門家の調査では、まだ国内にはヒアリは定着していないことが分かってるんです。それなのに殺虫剤を撒いてしまうと、在来のアリを殺すことになってしまいます。

──在来のアリが少なくなると、どんな懸念がありますか?

在来のアリが少なくなると余計にヒアリが定着しやすくなって、生態系に大きな影響を与えることが危惧されます。もちろん、ヒアリに刺されたら然るべき処置を受ける必要がありますが、もっと深刻なのは、ヒアリが定着することで生態系が変わってしまうことです。生態系のバランスが崩れてしまうと、それこそ、子どもたちが安心して外で遊べなくなってしまうかもしれません。

アリのなかでも危険なのはヒアリのような一部の外来種だけで、日本にいるほとんどのアリに危険はありません。だから、今回のアリしらべでも、「身近にこんなにたくさんの種類のアリがいるんだ」ってことを知ってもらいたいですし、「アリだからと言って全部怖がらなくていいんだよ」ってことを伝えられたらいいなと思ってます。

 

■虫たちも「自然の仲間」だと思える子どもが増えればいい。

日本自然保護協会の辻村さん。

日本自然保護協会の辻村さん。

──子どもたちが虫と触れ合う機会は減っていると感じますか?

昔に比べると、身近なところに虫がいなくなってますから、子どもたちも虫を目にする機会は減っていると思います。住宅環境も、気密性が高くて虫を寄せ付けない家づくりに変わってきていますよね。昔は、台所にある砂糖の箱までアリが行列をつくってる、って普通にありましたからね(笑)。家のなかでも、虫除けグッズを置くのが当たり前になってきて、とにかく最近は「虫を避けよう」っていう雰囲気です。それ自体が悪いことだとは思いませんが、虫という虫が全部ワルモノにされちゃうのは、ちょっと違うかなと。

本来、子どもって男の子も女の子も虫が好きなんです。小さい子だと、ダンゴムシとかアリとか。高学年になるとクワガタとかカブトムシとかカッコいい虫が好きになりますし、チョウチョとかかわいい虫も好きになります。そんな子どもたちも、大人になるにつれ、いつからか虫嫌いになってしまうんです。

──虫嫌いになってしまうのはなぜでしょうか?

いろんな理由があると思いますが、やっぱり親御さんの反応って大きいのかなって思います。虫がいると「きゃー!」って騒いでスプレーでやっつける様子を見てたら、子どもも虫嫌いになっちゃいますよね(笑)。

以前、生態学の先生が、生態系を「たこ焼き」に例えた話をしてたんですけど、たこ焼きを作るのに欠かせない材料ってあるじゃないですか。同じように、生態系を保つために虫って欠かせない存在で、もしかしたらアリはたこ焼きで言うところの小麦粉かもしれないし、青のりの役割かもしれません。外来種は別ですが、生態系を保つためにいなくていい虫っていないんですよね。

今回、テーマにしているアリにしても、動物の死骸を分解したり、植物の種子を散布したり、自然のなかで重要な役割を果たしています。だから、「虫=汚い」「虫=怖い」じゃなくて、「虫=自然の仲間」だと思って生きていくというか、そういう子どもたちが増えたらいいなと思ってます。

 

アリ博士になろう!自然観察会 レポート

子どもたちが見つけたアリを識別する寺山先生。

子どもたちが見つけたアリを識別する寺山先生。

──世界侵略を進めるアリがいるって本当!?

「アリ博士になろう!自然観察会」の参加者は80名前後。たくさんの親子連れが参加していました。

最初のプログラムは「アリの室内講義」。講師を務めるのは、アリ研究の第一人者で理学博士の寺山守先生です。「本当にいるアリはどれ?」というクイズには、子どもたちも興味津々。「畑をつくって農業をするアリ」「自爆するアリ」「世界侵略を進めるアリ」と、怪しげなアリばかりですが・・・・・・答えは全部実在するとのこと。「砂漠のアリは、自分で何歩歩いたか覚えてるから巣に戻れる」なんて、友だちに教えたくなるような話ですよね。アリの奥深さ・面白さが満載の講義でした。

アリの標本を見る子どもたちからは、「先生、ヒアリはどれ?」という質問が。ヒアリの体は赤っぽく、ツヤがあります。万が一のため、ヒアリの実物を見ておくのはいいことですね。

──先生、これって何アリ?

昼食を挟んで、午後は「アリの自然観察会」です。ビニール袋とルーペを持った子どもたちは、すぐにアリ探しに夢中に。見つけたアリを手に、「先生、これって何アリ?」と寺山先生の前に行列をつくっていました。この日、1時間ほどの観察会で見つかったアリは12種類。

自然観察会の後は、寺山先生への質問タイム。「日本最大のアリを教えてください」という質問から、「先生は、女王がいないアリがいるって言ってたけど、じゃあ、そのアリはどうやって生まれたの?」という鋭い質問まで飛び出しました。また、「先生はどうしてアリのことを調べはじめたの?」という、先生に関する質問も。「とにかく昔から昆虫が好きだった」と、ご自身の幼少期を振り返って丁寧に答えてくれました。

タジマさん親子は、去年の自然しらべのイベントが楽しかったので、今年も参加したとのこと。娘さんは、虫が大好きで、おうちでもカタツムリやカブトムシを飼っているそうです。今回の自然観察会も大満足の様子。自由研究を進めるために、近所の公園にも行ってアリを探す予定だとか。「いちばん好きな虫は?」という質問には、「ダンゴムシ!」と。子どもは素直ですね(笑)。

「身近なアリしらべ!」の実施期間は9月30日まで。あなたも、身近な場所でアリを探してみては? マニュアルはこちらhttps://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11198/)でダウンロードできます。また、調査結果は年内に公開予定とのこと。アリの生態から、どんなことが分かるか楽しみですね。

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