交流会やイベントの開催、お仕事の紹介、お部屋探しなど
シングルママと子どもの暮らしに関わることを支援
――活動内容について教えてください。
<小山さん>
リトルワンズでは、シングルママとお子さんの暮らしに関わること全般を支援しています。月に一度、交流会やイベントを開催して親子で楽しく過ごしたり、シングルママのお友だちづくりや情報交換ができたりする場所を提供しています。
交流会では、近い年齢のお子さんを持つお母さん同士ですから自然と打ち解けられますし、互いに相談し合って子育ての不安を解消することにもつながっています。イベントは、バーベキュー、ミカン狩り、旅行、親子ハイキング、クリスマス会などさまざま。お子さんはとっても生き生きしますし、お母さんものんびり過ごしていらっしゃいます。衣替えの時期には、服の無料プレゼントもしています。子ども服は、すぐに着られなくなりますので、とても喜ばれますね。
現在、会員は1,600人ほど。30代半ばの方が多く、シングルママさんが9割を占めます。シングルパパさんは1割程度と少ないのですが、交流会やイベントに参加されることもあります。娘さんを持つシングルパパさんは、お母さん方に女の子向けの洋服を選ぶコツを教えてもらったり、髪の結び方を教えてもらったりしています。
お仕事の紹介、お部屋探しもサポートしています。お仕事の紹介は履歴書の書き方から仕事のマッチング、就職後のフォローまで幅広く支援しており、お部屋探しに関しては、敷金礼金なしや保証人の要らないお部屋など、ご希望にあったお部屋をお探ししています。家賃交渉や家賃助成の申請サポートも行っています。これらの支援はもちろんすべて無料です。空き家を活用して、生活支援と一緒にご提供する仕組みは、日本初で、国土交通省のモデル事業に選ばれました。
また、生活や子育てに関わる情報サイト「ココミナ」を運営しています。すべて無料で利用できるので、ぜひ一度ご覧になっていただければと思います。
シングルママが本当に求めている支援を提供するために
――リトルワンズの立ち上げの経緯をおしえてください。
<小山さん>
シングルママの支援をはじめて今年で10年になります。もともと、アメリカでシングルママ支援のボランティア活動をしていて、帰国してからは構成作家としてテレビ局で働いていました。番組を作っている中で、シングルママの現状を知ったのですが、当時はシングルママの取り巻く社会問題をクローズアップできる風潮ではありませんでした。それに、支援がうまく届いていなかったり、社会の認知も低かったので、「海外に比べると、すごく差があるな」と感じていました。
そこで、現場に出かけて、実際に、多くのシングルママにお話を伺っていったところ、彼女たちが求めている支援と、行政が提供している支援にはギャップが大きいことがわかりました。ママさんたちは“今”仕事が必要だったり、“今”住むところが欲しかったりと、今すぐに必要な支援を求めていました。ところが、行政には申請のタイミングや必要な書類がたくさんあって、タイミングが合わなかったり、書類がないと申請のタイミングを待たなくてはいけません。お仕事に関しても、当時は限られた仕事しか行政の窓口は紹介できなかったので、自分に合った仕事や、将来のキャリアを考えての仕事は見つかりにくかったです。行政も懸命に支援しているのですが、うまくいかなくて悩んでいました。そこで、両者のギャップをうめて、もっとポジティブで効果のある支援の仕組みを作ろうと、2008年に活動を開始し、2010年にNPO法人化しました。男性で、女性支援の団体を立ち上げるのは大変珍しがられました。
お母さんもプレママさんも いつでも気軽に集まれる場所「ほっくる」
――親子カフェ「ほっくる」について教えてください。
<小山さん>
親子カフェ「ほっくる」は、運営して今年で4年目になります。杉並区は教育に優れた区ですがお母さんたちが集う場所が少なく、親子で一緒にご飯を食べる場所もありませんでした。そこで、地域のお母さん方から「お母さんが集えて、子どもと一緒にすごせる場所を作ってほしい」という要望があり、親子カフェ「ほっくる」を作りました。
親子カフェ「ほっくる」は、シングルママさんだけではなく、すべてのママさんに開放している子育て支援施設です。お友だち同士で来てランチを食べたり、子育ての専門家による相談イベントがあったり。ママさんが一人で来ても、同年齢の子どもがいれば他のママさんと自然と会話が生まれて、すぐに新しいお友達ができます。プレママさんも来て、出産や子育ての悩みを共有し合うこともあります。また、マッサージサロンも開催していて、子連れでもマッサージを受けることができます。
“できることをやろう”というスタンスでボランティアに参加してもらいたい
――長年シングルママさんの支援に関わる中で、多くの人に啓蒙したいことをおしえてください。
<小山さん>
いろんなニュースがあふれていますが、それらのニュースを、子どもの視点や子育てをしている視点で見てもらえたらなと思います。たとえば、インフルエンザが流行っているというニュースが流れてきたら、「もし子どもがインフルエンザにかかったら、誰が看病するのだろう」「共働きやシングルママの家庭では、仕事を休まなきゃいけなくなるのか」「仕事は簡単に休めないし、休めたとしても給料はどうなるのか」と想像してみましょう。たったこれだけでも、考えてみることで、シングルママさんの現状を理解するきっかけになると思うのです。
リトルワンズでは、「できることをやろう」というスタンスでボランティアに参加していただいています。ボランティアは全員社会人で、皆さんできることをできる範囲でやっていただいています。デザイナーの方はデザインの仕事をやってくれていますし、営業の方や法人取引が多い方は、協賛企業をご紹介してくださいます。寄付してくれたり、物を持ってきてくれたりという関わり方もアリです。一人ひとりができる小さなことを、少しずつ集めることで、社会全体が良い方向に変わっていくと思います。
大人は子どもにとって人生の先輩。できる範囲で、子どもたちの良き先輩になってくださると、うれしいです。面と向かって、手を差し伸べてくれると有難いです。背中を見せるのも一つです。大人が幸せで充実した人生を送っている姿を、子どもが見れば、「大人になるのもいいな」と思えるはずですから。
さまざまな企業と組んで、子育て支援をさらに盛り上げていきたい
――今後の展望を教えてください。
<小山さん>
まずは、今までやってきたシングルママやシングルパパへの暮らし全般の支援、親子カフェ「ほっくる」の運営を継続していくことですね。現在、取り組んでいるのは、AIを使って、いつでもどこでも気軽に相談できるWeb上の窓口を作ったり、フードロスの解決システムを作っています。きっと、日本で珍しい試みになることでしょう。
また、さまざまな企業と一緒に、子育て支援をさらに盛り上げていきたいと考えています。これまで子育てに関わる企業とのコラボレーションは多かったのですが、今後は子育て関連の企業さま以外も巻き込んで、さまざまな形で子育て事業を展開していきたいですね。現在、東京都子育て協働コーディネーターとして、地域の団体やNPO団体と企業をつなげる仕事もしています。お互いの特性を上手く活かし、双方にメリットが大きい取り組みを形にしていきたいと思います。
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