武蔵小杉らしいイベントで、人と人を結ぶ組織。
――小杉駅周辺エリアマネジメントの概要・活動内容を教えてください。
小杉駅周辺エリアマネジメント(エリマネ)は、武蔵小杉のマンション住民を会員とする組織で、マンションに住む人と、周辺町会や商店街・商業施設、そして行政との橋渡しをすることで、武蔵小杉エリアの発展に貢献することを目指しています。「マンション住民」「商店街」「周辺町会」「行政」の中心に位置して、それぞれの情報を共有したり、交流を深めたりする役割を果たすのがエリマネです。こういった位置づけの組織は、全国的に見ても例がないと思います。
毎月1回の「エリマネ連絡会議」では、各マンションの代表理事の方に参加していただき、様々な情報を交換しています。イベントの案内や行政の情報、町内会の情報、防災・防犯の講習会情報など、エリマネが存在することで武蔵小杉という街に関わるみなさんの情報共有がスムーズに進んでいると思います。
――エリマネの発足には、どんなきっかけがあったのでしょうか?
ここ10年で、武蔵小杉は大きな変貌を遂げました。昔は、工場や企業のグラウンドなどはありましたが、その他は何にもない場所でしたからね(笑)。そんな街を、川崎市が大規模再開発するという話になりました。人が住んでいなかった場所に大規模高層マンションが建ち、1棟500世帯・600世帯という規模で新しい住民が入ってくることになったんです。
川崎市まちづくり局が先導して、「これから住民が増えたとき、どのようにコミュニティを形成していくべきか?」「今後、武蔵小杉の街づくりはどうしていくべきか?」といった話し合いが行われ、それがきっかけで平成19年(2007年)に誕生したのがエリマネというわけです。
来場者10万人!武蔵小杉最大のお祭り「コスギフェスタ」。
――コスギフェスタについて教えてください。
エリマネが行うイベントのなかでも、最大の規模を誇るのが「コスギフェスタ」です。2011年からスタートしたイベントで、昨年は残念ながら雨で1日中止になってしまいましたが、一昨年は3日間で10万人もの人が集まりました。
コスギフェスタは、簡単に言えばハロウィンイベントで、「子どもたちの笑顔と思い出のために、武蔵小杉を彼らのふるさとにする」ことをコンセプトに掲げています。子どもたちがポイントを回ってお菓子をもらう「トリック・オア・トリートスタンプラリー」や、仮装パレード、仮装コンテストは毎年恒例。その他、地元の方によるコンサート、ダンスなどのステージ、小中学校の吹奏楽部の演奏、地元で活躍するミュージシャンの公演など、地元の人たちのお披露目の場でもあります。
コスギフェスタを成功させるための資金調達もエリマネの仕事ですね。商店街さんとコラボすることで自治体から補助金を出してもらったり、地元企業に協賛してもらったりしています。武蔵小杉のマンションは5,000世帯・15,000人規模になっていますので、地元企業にとっても効果的なPRの場所になります。私たちも、イベントを楽しいものにするために地元企業に協力してもらいたいですし、協賛することで企業にもメリットを提供できるようなWIN-WINの関係でやっていきたいですよね。
――イベントの企画などはエリマネが行っているのですか?
コスギフェスタの中でのイベントに「コスギカレーフェス」があるのですが、実はこのイベントを企画したのは、新丸子にある「KOSUGI CURRY」というカレー屋さんの店主だったんです。持ち込み企画による熱いプレゼンを経て開催が決定。その店主さん、今はエリマネの理事も務めてくれています(笑)。
一昨年のコスギフェスタでは、綱引きや玉入れなどの運動会イベント「コスギんピック」を行いましたが、この企画を持ってきてくれたのは慶応大学の学生さんでした。もちろんエリマネも手伝いましたが、彼らが企画から運営まで手がけてくれて、子どもたちやマンション、商店街、消防団などのチームに、Bリーグの川崎ブレイブサンダースも参加してくれて非常に盛り上がりましたね。
エリマネへのイベント企画の持ち込みは大歓迎です。もちろん全部は採用できませんが、収支計画や人員計画が練られていて、エリマネ内で「これは面白そうだ!」ってことになれば協力しますよ。
みんなで楽しみ、みんなが助け合う武蔵小杉を。
――コスギフェスタの他にはどんなイベント・活動がありますか?
こすぎ夏祭(盆踊り)は2日間で4万人を集める大盛況なイベントです。以前は町会がやっていたのですが、再開発で場所がなくなってしまい、盆踊りをやっていない時期が続いていました。そこで2015年に、町会・商店街とエリマネで一緒にやりましょう!となって復活したんです。
浴衣を着ての盆踊りは風情があって、まさに新旧住民がみんなで楽しめる伝統行事だと思います。みんな踊り方なんて知らないのに、始まるといつの間にか二重・三重の輪ができて、自然に笑顔が生まれて、本当にいいものだなと。不思議なんですが、盆踊りって夜にもかかわらずクレームが少ないんです。やっぱり町会さんが昔から受け継いできた行事だから、文化としてしっかり根付いているんだなと思いますね。
毎月3回の子育て交流会「パパママパークこすぎ」は、エリマネが初期から取り組んでいる活動です。テーマは子育てですが、「ママ友をつくりたい!」っていうお母さんもたくさんいて、毎回30組くらいの親子が集まります。その他、課題図書を読んで感想を語り合う「こすぎナイトキャンパス」や、シニア向けの憩いの場「ちょっと小さな交流会」など、多彩な活動をしています。
――防災ワーキンググループについて教えてください。
各マンションの防災委員会の人が毎月1回集まって、様々な防災活動を行うのが「防災ワーキンググループ」です。
3.11のとき、この周辺は停電が起きたのですが、「レジデンス・ザ・武蔵小杉」というマンションだけは停電しませんでした。そうなると、やっぱりみんな不安だから明るい場所に行きたいじゃないですか。通常、マンションが第三者を受け入れることはありませんが、レジデンスは受け入れてくれて、エントランスで毛布や飲み物を提供してくれました。これは、防災ワーキンググループでつながりができていたのが大きかったと思いますね。
これをきっかけに、「やっぱりマンションの防災って重要だよね」ということと、「横のつながりって重要だよね」ということを再認識しました。そして、「フロア交流会」をやることになったんです。フロア交流会は、マンションの防災対策についての説明がメインですが、同時に「同じフロアの人たちは顔見知りになりましょう」という意図もあります。隣に誰が住んでいるのか分からない状態ではなく、「何かあったとき、よろしくお願いしますね」って挨拶しておくだけでも安心感が違うと思うんです。
「武蔵小杉を良くしたい」という方は、ぜひイベントに参加を!
――エリマネの今後について教えてください。
エリマネが誕生してから10年が経ちましたが、10年経てば街も変わりますし、人も変わります。タワーマンション9棟、5,000世帯、15,000人という規模になってくると、エリマネの運営上、難しい問題も出てきます。たとえば、「理事をどうするか?」という問題があります。今、エリマネの理事はみんなボランティアなのですが、ボランティアの良さがある一方で、ボランティアの限界もあります。また、そもそもNPOという組織形態が最適なのかという議論もあります。
間違いなく今、エリマネは改革の時期を迎えています。なにしろ国内に例を見ない組織なので、私たちも改革検討会を起ち上げて、学識者に相談しながら改善を試みています。今後、さらにマンションは増えていきますので、川崎市の協力を仰ぎながら、これまでの10年をこれからの10年につなげていけるような最適な運営を目指したいですね。
昔は「武蔵小杉ってどこ?」っていう人ばかりでしたが、今、武蔵小杉は非常に活気があって交通の便も良く、住みたい町ランキングでも上位に入っています。でも理想は、「住み続けたい街」になることです。武蔵小杉を住み続けたい街にするためにエリマネが担っていく役割は大きいので、少しでも貢献できたらと思っています。
――最後にメッセージをお願いします。
街に愛着を持って毎日を楽しく暮らしていくうえで、地域のイベントで交流を広げたり、交流を深めたりって重要なことだと思います。イベントに参加することで顔見知りになって交流が生まれますし、イベントの準備などを通して協同することで仲間意識が育まれます。エリマネの活動って口で説明してもなかなか伝わらないので、まずは何でもいいのでイベント・活動に参加していただきたいですね(笑)。
エリマネは住民によるボランティアがベースになって運営されていますが、まだまだスタッフが足りません。「この街をもっと良くしたい」「武蔵小杉の価値を上げていきたい」という人は、気軽にイベントに参加してくださいね!
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