だれもが安全安心に楽しめる球場を地域の魅力に

仲野さんと寺門さんとサニエル

マリーンズ・ボランティアとは?

安心安全に、楽しく野球観戦できる球場をめざして、2016年から活動しているマリーンズ・ボランティア。おもな活動は、ZOZOマリンスタジアムでおこなわれる千葉ロッテマリーンズ主催ゲームの際に、球場内外で困っているお客さまに案内やサポートをすることです。今回はぼくサニエルが、ファン感謝デー「スーパーマリンフェスタ2019」におじゃまし、マリーンズ・ボランティアを運営する千葉ロッテマリーンズのおもてなしプロジェクト担当の仲野さんとマリーンズ・ボランティア代表の寺門さんにお話を伺いました。

仲野さん

すべての人が安心安全に楽しめる球場をめざして

千葉ロッテマリーンズおもてなしプロジェクト担当の仲野さん
千葉ロッテマリーンズおもてなしプロジェクト担当の仲野さん

マリーンズ・ボランティアの活動について教えてください。

(仲野さん)
千葉ロッテマリーンズは「地元千葉に貢献したい」という思いを強く持ちながら、地域とともに歩んでいます。2015年には球場リニューアルに合わせて「おもてなしプロジェクト」を発足させました。球団社長をプロジェクトリーダーとして、ホスピタリティあふれる球場をめざし、サービスの向上に取り組んでいます。ボランティア組織「マリーンズ・ボランティア」は、同プロジェクトの一環として、翌2016年に立ち上げたものです。

球場を訪れる方は子どもから大人まで幅広く、地元の方もいれば外国の方も、また障がいのある方もいらっしゃいます。さまざまな人が集まる球場という場所を、だれもが等しく楽しめる、安全で安心で心温まる場所にするのがマリーンズ・ボランティアの役割です。

マリーンズ・ボランティアに参加する方々は、地域に根差したプロスポーツチームとしての当球団に魅力を感じてくれています。そのみなさんとともに活動しながら、球場を「また来たい!」と思ってもらえる地域の魅力にすることで、地域振興に貢献したいと考えています。

具体的な活動のメインは、お客さまへの案内とサポートです。ZOZOマリンスタジアムでおこなわれる千葉ロッテマリーンズ主催ゲームの際に、外周にある案内ブースで問い合わせに対応したり、球場内外で困っている人に声をかけたりしています。

子どもたちにも野球に親しんでもらう場に

撮影スポットとしても人気の「マーくんふわふわドーム」
撮影スポットとしても人気の「マーくんふわふわドーム」

今日のイベントには、ファミリーで来場している人がとても多い印象を受けました。

(仲野さん)
家族でいらっしゃる方は増えましたね。マリーンズ・ボランティアの活動のひとつには、子ども向けのアトラクション運営もあります。

アトラクションの中でも、球団のマスコットキャラクター「マーくん」のエア遊具「マーくんふわふわドーム」はとても人気があり、行列ができることもあります。そんなときはボランティアクルーが待ち時間にクイズを出したりして、子どもたちに飽きずに楽しんでもらえるよう対応を工夫していますね。

球場内のキッズスクエアでボランティアクルーが実施している子ども向けイベントも好評です。内容はバルーンアートや塗り絵などで、何をやるかはボランティアクルーと一緒に企画しています。こうした活動によって、子どもたちにも気軽に球場に足を運んでもらい、野球やスポーツの楽しさを知るきっかけをつくれたらと思います。

そのほかの活動としては、開場直後にチアパフォーマーやマスコットキャラクターと一緒にゲートでハイタッチのお出迎え、試合後にはお見送りもします。最近はお客さまのほうから「今日は勝ってよかったね」など声をかけてくださることも増えてきました。

スポーツボランティアに興味を持つ人が増加

外周案内ブース。「記念写真撮影もしますよ!」

どんな方が活動していますか?

(仲野さん)
登録人数は約300名いて、公式戦では平日は約20名、休日は約40名が活動します。今日は年に一度のスーパーマリンフェスタなので約70名が活動しています。

当初は男性のほうが多かったのですが、いまは若干女性が多め。年齢層は大学生から会社員、退職後のシニアの方まで幅広いですね。会社員の方は週末だけ活動するなど、それぞれの都合にあわせて楽しみながら活動してくれています。

東京五輪を控え、まずはマリーンズ・ボランティアで、スポーツボランティアの経験を積みたいという方も多いようです。とくに10代の大学生は昨年より4%増加しました。全国のスポーツボランティア情報が集まる「スポボラ.net」(スポーツボランティアネットワークが運営)というサイトにも募集を掲載していますが、そこからの登録も増えており、スポーツボランティアに興味を持つ方が増えているのを感じます。

球場は障がい者も健常者も一緒に楽しめる場所

マリーンズ・ボランティア代表の寺門さん
マリーンズ・ボランティア代表の寺門さん

マリーンズ・ボランティアの活動を始めようと思ったきっかけは何でしたか?

(寺門さん)
もともと野球がすごく好きなんです。マリーンズ・ボランティアをやる少し前に、個人的にカンボジアの孤児院でボランティアをしたのですが、子どもたちと遊ぼうと思って日本から野球道具を持っていったんですよ。カンボジアはほとんどの人が野球を知らないのですが、子どもたちはすぐにバットを振って楽しそうに遊びはじめて……。それを見て、もっと野球が好きな子どもが増えればいいなと思いましたね。

そんな経験もあったので、日本でも何か野球に関わる活動ができないかと漠然と思っていたところ、帰国後しばらくして、たまたま新聞でマリーンズ・ボランティア募集のお知らせを見つけて。ちょっとやってみようかなと思って申し込みました。

私自身、野球を観るのはもちろん、球場に来ることも好きなので、その楽しさを少しでも多くの人に知ってもらいたいというのが活動のモチベーションになっていますね。

活動でやりがいを感じるのはどんなときですか?

(寺門さん)
勝った試合では、試合終了後にハイタッチでお見送りをするのですが、そのときにお客さまのほうから手を出してくれたり、声をかけてくれたりするとうれしいですね。

お客さんに話しかけるのも、最初は勇気がいるのですが、野球という共通の話題があるので、結構盛り上がります。そういう交流も、テレビで観戦しているだけでは体験できない、球場に来ることの醍醐味なのかなと思います。

ボランティア活動の中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

(寺門さん)
以前、白杖を持った方を案内しました。その方はライトスタンドに行きたいとおっしゃったのですが、ライトスタンドといえば、熱いファンが多く、ずっと立って応援しているようなにぎやかな席。目が不自由であればプレイの状況もわからないんじゃないかと思って聞いてみたら、「まわりのお客さんの歓声とかでなんとなくわかるんですよ」と。球場の臨場感が好きで、年間に何試合も外野席で応援しているのだそうです。それを聞いて、球場には多様な楽しさがあり、障がいがある人もそうでない人も、みんなが一緒に楽しめる場所であることをあらためて実感しました。その安心と安全をつくるのが、私たちマリーンズ・ボランティアの役割だと思っています。

活動で育まれる「地域のために何かしたい」という思い

ZOZOマリンスタジアムとクルー
活動の中で多くの人と交流するボランティアクルー

マリーンズ・ボランティアが活動を始めて4シーズンを終えましたが、手ごたえは感じていますか。

(仲野さん)
2019年の観客動員数は昨年を上回り、球団新記録を樹立しました。マリーンズ・ボランティアに対するお客さまの反響も増えており、「マリーンズ・ボランティアさんが丁寧に接客してくれたのでまた来たい」とか「案内がとてもわかりやすかった」といった具体的な声が届いています。SNSで好意的な書き込みを目にすることも少なくありません。他球団のファンの方が、ボランティアがいることに驚いて「すばらしいですね」といってくださることもあります。

ボランティアクルーのみなさんは、本当に「おもてなしをしたい」という気持ちが強く、球団職員が思いつかないようなアイデアもたくさん出てきます。たとえば、外周案内ブースにある球場の模型は「模型があったほうがわかりやすい説明ができる」とボランティアクルーが自発的につくったものです。また、英語版の球場マップをつくったのも「外国人のお客さまが多いから英語版の球場マップがあったほうがいいんじゃないか」というボランティアクルーの声がきっかけでした。

(寺門さん)
立ち上げ1年目はマニュアルもなく、ボランティアクルーも手探りでしたが、経験を積み、その経験を共有することで、先回りして物事を考えられるようになってきた気がします。

(仲野さん)
「おもてなしプロジェクト」では、優れたおもてなしをした人を毎月表彰しています。ボランティアクルーだけでなく、警備員や飲食販売員など接客サービスに関わる人たち全員が対象ですが、ボランティアクルーが表彰されることも多いんですよ。

また、活動をきっかけに、球場でのおもてなしにとどまらず、「地域のために何か役に立ちたい」という思いを強めているボランティアクルーも多いと感じています。先日、台風19号で千葉県に甚大な被害が発生したときは、ボランティアクルーの中から「マリーンズ・ボランティアとして現地に手伝いに行きたい」という声が上がりました。

このときは実際に現地での支援は叶わなかったのですが、球団としての募金活動にボランティアクルーも協力しました。

千葉ロッテマリーンズは「地域のために何かしたい」という思いから、ランドセルカバーの無料配布や小学校での野球教室といった地域振興活動にも積極的に取り組んでいます。そうした球団の地域に対する思いは、マリーンズ・ボランティアのみなさんの意識にも影響しているかもしれません。ボランティアクルーが「地域のために」という思いを強くしてくださっているのは、球団としてもうれしいですね。

全国の球場をもっと楽しく!

仲野さんと寺門さん
マリーンズ・ボランティアの認知度も高まっていることを感じるという仲野さん(左)と寺門さん(右)

今後やってみたいことや目標はありますか?

(仲野さん)
東京五輪をきっかけにお客さまのスポーツへの関心も高まり、これまで野球を観たことがない方が初めて球場にいらっしゃることもあると思います。そういう方にもボランティアクルーの声がけで「楽しかった」と思ってもらいたいですね。今後もボランティアクルーと協力しながら、安心安全で心温まる球場をつくり、野球や球場の楽しさを伝えていけたらと思います。

(寺門さん)
今年は他の球団のボランティアとも交流し、情報交換をしました。スポーツボランティアの横のつながりのようなものが広がりつつあるのを感じます。来シーズンはさらに連携を密にし、他団体のよいところも取り入れていきたいですね。

まだボランティアチームがある球団は少ないですが、将来的にすべての球団にボランティアチームができれば、野球全体の活性化につながります。「野球っておもしろいんだ」「球場ってこんなに楽しいんだ」ということを、どの球場でも感じてもらえるようになるといいなと思いますね。

最後にメッセージをお願いします。

(仲野さん)
球場に来たら、まずマリーンズ・ボランティアのみなさんに話しかけていただきたいですね。球団でもガイドブックは用意していますが、ボランティアクルーは知識と経験が豊富で、ガイドブックだけでは知ることができない情報もたくさん持っています。「おいしい屋台はどれですか?」なんて質問も多いんですよ。わからないこと、初めてのことは、なんでも聞いて楽しんでください。これからも千葉県を代表するプロスポーツチームのボランティアとして、野球を通して地域の役に立ちたいと考えています。

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ご支援、その他のお問い合わせはこちらで受け付けております
千葉ロッテマリーンズ インフォメーションセンター
ホームページ:https://www.marines.co.jp/expansion/local/volunteerCrew/index.html
電話番号:03-5682-6341 (総合窓口 平日10:00~17:00)
住所:千葉市美浜区美浜1
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