困窮世帯の小学生を対象にした無料英語学習会 「English Drive Jr.」にいってきました。

キッズドアとは?

キッズドアは、すべての子どもが生き生きと成長できる社会を目指して、子どもたちを支援している認定NPO法人です。教育支援事業では、低所得世帯の小・中学生、高校生世代を対象にした無料学習会を実施しています。今回は、ぼくサニエルが小学生を対象とした無料の英語学習会「English Drive Jr.」の様子を見学させていただくとともに、担当者の長尾有里子さんにお話を伺ってきました。

家庭の経済格差が子どもの英語力の格差になってはいけない。

インタビューを受ける長尾さんの写真
キッズドアでEnglish Drive Jr.を担当している長尾さん。

──English Drive Jr.はどんな学習会ですか?

私たちキッズドアは、2007年の設⽴以来、⽇本の⼦どもの貧困課題の解決に取り組んでいる認定NPO法人です。困窮世帯の⼩学⽣から⾼校⽣世代を対象に様々な学習支援をおこなっており、そのなかの一つに英語に特化した無料学習会「English Drive」があります。

English Drive Jr.は、English Driveの「小学生版」です。小学5年生と6年生のお子さんに英語学習の場を提供しており、東京に3つの教室(中央区、港区、足立区)と仙台に1つの教室を設けています。本日の「English Drive Jr. 中央区」は第2土曜日と第4土曜日の月2回開催で、全部で13人の生徒が在籍しています。先生はほとんどがボランティアさんですね。

──English Drive Jr.の立ち上げの経緯を教えてください。

社会のグローバル化が加速するのにともない、私たち日本人にはますます英語力が求められるようになっています。小学校でも英語が必修化され、英語塾や英会話スクールに通う子どもが増えていますが、経済的に困窮しているご家庭はお子さんを塾やスクールに通わせることができません。そうなると結果的に、経済格差によって子どもの英語力にも格差が生まれてしまうことになります。このような格差を埋めなければいけないという思いで立ち上げたのがEnglish Driveであり、English Drive Jr.です。

──一般的な英語塾とどんな違いがありますか?

一般的な英語塾は、どちらかと言うと「定期テスト対策のために、がっつり英語を勉強する場」という色彩が強く、年間計画やカリキュラムがしっかり決められていると思います。一方、English Drive Jr.は、勉強、勉強という感じではなく、「楽しく英語に触れられる場」を目指しています。ですから、英語を使ったアクティビティやゲームを採り入れて、かなり自由度の高いレッスンをおこなっています。

中学生になると英語の授業も本格化しますが、そこで子どもたちが苦手意識を持たないよう、小学5・6年生のうちに英語を好きになってもらうことはEnglish Drive Jr.の一つの重要な役割だと認識しています。中学英語にうまく「橋渡し」ができるといいなと思っています。

まずは英語の楽しさを知ってもらい、英語を好きになってもらうこと。

レッスンの様子の写真
アクティビティやゲームを採り入れて、楽しく英語に触れるレッスン。

──参加しているボランティアさんについて教えてください。

現在、「English Drive Jr. 中央区」にアクティブに参加していただいているボランティアさんは7~8人です。ここは土曜開催ということもあり、主婦の方など女性のボランティアさんが多いですね。外国の方も参加して下さっています。English Drive全体で見ると、平日の仕事帰りに参加してくれるビジネスマンの方や、大学生や主婦の方、シニアの方まで幅広いです。English Driveはオンラインに特化した教室もあるので、海外から参加してくれるボランティアさんもいます。

これまで英語に触れてきた経験を活かしたいという方や、英語を教えることを通して貧困や教育格差などの社会課題解決に貢献したいという方が多いかなと思います。

──レッスンではどんなことを心がけていますか?

いちばんは、英語の楽しさを知ってもらい、英語を好きになってもらうことです。ですから、生徒たちにはいつも「失敗してもいいからどんどん喋ってみよう」と言っており、できるだけ英語を話す機会を作るようにしています。間違いがあっても「それは違うよ」と訂正するのではなく、「惜しい!」と声をかけたり、ヒントを出したりするようにしています。

レッスン中は英語で話しかけるようにしていますが、あまりそこにこだわりすぎず、臨機応変に対応しています。当然ですが英語力には個人差があるので、聞き取れない子や理解できない子もいます。英語でバーっと話すことで苦手意識を持たせてしまう可能性もあるので、できるだけ生徒の様子を見ながら日本語で補足したり「今の単語ってどういう意味だっけ?」などと声をかけたりするように配慮しています。

子どもたちの成長を感じられるのがいちばんのやりがい。

ボランティアさん同士でレッスンを振り返るミーティングを行っている様子の写真
ボランティアさん同士で振り返りのミーティング。生徒の様子などを共有して、次回のレッスンに活かしている。

──長尾さんご自身、どのようなやりがいを感じていますか?

生徒の成長を感じたり、生徒が英語を楽しんでいるのが伝わってきたりするときは、やはり嬉しいなと思います。最初は「恥ずかしい」「間違えたらどうしよう」という気持ちが先行して、なかなか英語を喋ってくれない子が多いのですが、レッスンを重ねるうちにみんな少しずつ変わってきます。

英語どころか日本語すらなかなか話してくれない子がいたのですが、回を重ねるにつれて少しずつ英語を話してくれるようになり、「これはどうやって書くの?」と自分から質問してくれるようにもなりました。最近では、休憩時間に自分の話もしてくれます。この子に限らず、コミュニケーションに前向きになったり、失敗してもいいからチャレンジしてみようという気持ちになったり、そういう姿勢の変化を感じるときはEnglish Drive Jr.をやっていて良かったなと思いますね。

──今後の展望を聞かせてください。

English Drive Jr.は通常のレッスン以外に、定期的にイベントをおこなっています。クリスマスやハロウィンのほか、昨年は支援企業様のご協力のもと、キッザニアのイベントに参加したり、マインクラフトのイベントを開催したりしました。

今後は、生徒たちと同年代の海外の子どもたちとの「交流会」を企画していけたらいいなと思っています。海外の子供たちと、楽しく英語で話したり遊んだりするイメージです。英語を学ぶというより、コミュニケーションのツールとして英語を楽しく使えるような場をつくっていきたいですね。

──ボランティアに興味を持っている人に向けてメッセージをお願いします。

英語学習会のボランティアと言うと、「ペラペラじゃないとできない」「文法が完璧じゃないと教えられない」と思っている方もいらっしゃいます。ですが、English Drive Jr.はあくまで「英語を使って楽しく子どもたちと触れ合う場」です。そんなに気負わずに、お気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。英語の経験を活かしたいという方や、子どもと触れ合うのが好きだという方とぜひ一緒に活動したいなと思っています。

ボランティアさんにお話を伺いました!

インタビューを受けるボランティアのまみこさんの写真
English Drive Jr.で約5年、ボランティアをしているまみこさん。

──English Drive Jr.のボランティアに参加した経緯を教えてください。

私は、学生時代から何かしらのボランティアをやってきました。子育てがひと段落して、「またボランティアを始めよう」と思い、ネットで検索して見つけたのがキッズドアのEnglish Drive Jr.でした。

私自身、海外で英語を学んできた経験があり、普段はインターナショナル幼稚園で働いています。今の仕事も含め、これまで裕福なご家庭のお子さんと接することが多かったのですが、分け隔てなく自分の英語経験をシェアしたいという思いもありました。経済的な事情で塾に通えず、英語についていけなくなる子どもが増えてほしくないと思っていて、キッズドアさんの理念は大いに共感できるものだったので迷わず参加させていただくことにしました。

──レッスンではどんなことを心がけていますか?

私が特に意識しているのは、前回のレッスンとの「つながり」です。毎回のレッスン後に振り返りのミーティングをするのですが、そこで生徒の様子をシェアしたり、課題やアイデアを出したりして、それを次回のレッスンに反映しています。一人ひとりの生徒の英語の進み具合を把握しておくのはもちろん、生徒と話した内容をメモしておいて次回の話題に取り入れたりしています。

2週間後のレッスンにうまく接続するためにはボランティアのみんなできちんと情報共有をすることが大事なので、そこはいつも心がけていることですね。

──ボランティアをしていて嬉しかったことはありますか?

毎回のように感動があります。最初に来たときは耳元でささやく程度にしか喋れなかった子が、今日はなんとみんなの前に立って発表していました。「本当に成長したな」ってすごく感動しました(涙)。

English Drive Jr.では、レッスンの終わりにできるだけみんなの前で発表する機会を設けています。英語の上達はもちろんですが、英語に限らず人前で何かを発信していくことって、中学に入ってからも大人になってからも大事なことじゃないですか。ですから、そういう姿を見せてくれるとやはり嬉しくなりますね。

──今後の思いを聞かせてください。

私自身、学生時代は英語が大嫌いで、すごく苦労した経験があります。特に、これからの子どもたちは英語が大事です。私のように英語で苦労してほしくないので、子どもたちに少しでも私の英語をシェアしていきたいという気持ちがあります。英語が苦手な子の気持ちも理解できますので、今後もEnglish Drive Jr.を通して、「英語は楽しいものだよ」「英語を話せると世界がぐんと広がるよ」ということは伝えていきたいと思っています。

──ボランティアに興味を持っている人に向けてメッセージをお願いします。

English Drive Jr.は、子どもたちだけでなくボランティアも毎回成長できる場だと思っています。ボランティアというと壁を感じるかもしれませんが、一度来ていただければ、楽しい雰囲気が伝わると思います。興味のある方は、まずは一度見学に来ていただけたら嬉しいです。

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ご支援、その他のお問合わせはこちらで受付けております

認定NPO法人 キッズドア

ホームページ:http://www.kidsdoor.net/

電話番号:03-5244-9990

住所:東京都中央区新川2-16-10 プライムアーバン新川2階

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